設備投資額少ないの?

 

ITmediaの記事に、 楽天の携帯キャリア参入で気になる「料金」と「ネットワーク」 てのがありました。

 

4月6日の総務省の電波監理審議会で、楽天(楽天モバイルネットワーク)にLTEの1.7GHz帯を割り当てることが決定し、楽天が通信キャリア(MNO)として、携帯電話事業に参入することが確定したそうです。「2019年10月」にサービスインを予定しているとのことで、久々のMNO誕生で期待も高まります。

 

記事中には、参入の狙いや気になる料金などについて触れているのですが、その中で気になる記述がありました。

 

楽天は2025年までに最大6000億円を設備投資に充てると説明しているが、これはドコモが1年にかけている投資額にすぎず、「どこまで本気でインフラを構築するのか」と懐疑的な意見もみられる。逆に、この6000億円の資金をMVNOの回線増強に割り当てて、MNO並みの速度を出すようにした方が有効にも思える。

 

MNOですから当然ながら自前でネットワークを構築しなければならないのですが、その設備投資額がドコモの1年分にしか過ぎず、こんなんで全国にネットワークなんて張り巡らせるのかよ!というご主張のようです。

 

この設備投資額については、今回の記事のみならず他のメディアでの記事についても同様のことが言われており、中の人も気になってました。

 

楽天は久々の第4のキャリアですが、かつて イーモバイル という第4のキャリアがありました。ご存知のかたも多いと思いますが現在のワイモバイルの前身ですね。で、そのイーモバイルの決算書を見てみると、第4のキャリアの設備投資額が出ていました。それを中の人がまとめたものが以下のとおりです。

 

 

サービスイン前の2006年3月期から売上が2000億円を超え、ユーザー数も400万人を超えた2012年3月期までの7年間の推移ですけど、累計設備投資額が3000億円弱です。2012年3月期の人口カバー率は既に99%に達しています。

 

今から10年以上前のサービスインですが、7年間で3000億円弱人口カバー率99%を達成できてたんですね。

 

現在は基地局設備なども小型化が進み、以前より設備自体は安くなっているようです。で、あれば楽天がいう6000億円は充分とは言いませんが、必要最低限の設備投資額ではあるのではないかというのが中の人の感想です。

 

もちろん、この当時はスマホの黎明期で爆発的に加入者が増えた時期でもありますので、既に飽和状態の現在と比べるとこれだけで事業が順調に進むなどとは到底思えませんし、記事にもある通り、割り当てられた周波数は「プラチナバンド」ではないので、どの程度電波をつかめるかという問題は当然あるでしょう。

 

楽天が特別好きなわけではないのですが、少なくとも今回の設備投資額で言えば、特別少ないとは思えません。そもそも、既存顧客が7600万件程度いるドコモと、サービスイン前で顧客がゼロの楽天との設備投資額を同列で語ること自体がナンセンスじゃないですかねぇ。

 

どこの世界に顧客がゼロなのにいきなり1年目から6000億円投資する経営者がいるんでしょう。顧客が7600万件いるから年間6000億円の設備投資をしているわけですよね。

 

楽天が特別好きなわけではないのですが、第4のキャリアとしてはユーザーとしては歓迎したいですし、談合体質のキャリアの料金に風穴を開けてもらいたいと思ってます。

 

楽天が特別好きなわけではないのですが、三木谷さんにはかつての孫さんのように頑張っていただきたいものです。