ITガバナンス は、企業の永続的な繁栄と収益の最大化を目的とした「コーポレート・ガバナンス」に見られる「ガバナンス」のコンセプトが、企業のIT構築・運用に取り入れられたコンセプトです。ITガバナンス は、コーポレート・ガバナンスと同様のコンセプトが、組織内のIT投資や情報処理全般に適用されたことにより、そのコンセプトが誕生しました。
ITガバナンス という言葉は、1990年代後半から欧米で使用されるようになりました。米国では1998年に、システム監査法人などを中心とした情報システムコントロール協会(IT Governance Institute)が設立されました。
また日本においても、1999年に、通商産業省(現経済産業省)から『企業のITガバナンス向上に向けて』というタイトルのレポートが発表され、同時に、自社の状況を自己診断するための『ITガバナンス スコアカード』と呼ばれるツールが提供されました。

近年、米国のエンロン社やワールドコム社の問題に代表される企業の不祥事を背景に、以前にも増してコーポレート・ガバナンスが見直されてきています。またソフトウェア開発 におけるソフトウェア品質管理に 例を見るような品質管理に対する意識も高まりつつあります。とは言え、依然として、ビジネス活動におけるIT依存度が高まるにつれ、情報システムのトラブルといった企業不祥事をよく耳にします。このように、経営とITの関係が緊密化しているという背景の中では、「ITガバナンス」というコンセプトが生まれ、その必要性が急激に高まっていることは、自然の流れだったと言えるでしょう。