【読書ノ秋】が終わりました…

気がつけばもう12月。

いつの間にか『肌寒い』が『さむぅ…』に変わっている。

常々読書中の本と、買ったままで未読の本が本棚の前にうず高く積まれているが、こんなに読書に耽った日々は久し振りだった。

もっぱら小説は山本周五郎しか読んでなかったが、人からの勧めもあり異なる作者の本を読みだすと…止まらない。

まず読みはじめたのが、

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

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司馬 遼太郎
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上掲載の坂の上の雲一～八巻。

言わずと知れた名作で、兼ねてよりある方から口酸っぱく『読め！』と進められていた本。

正岡子規と秋山兄弟の三主人公が、明治維新後の富国強兵政策を敷き、日清・日露戦争を展開する日本を舞台に活躍する話。

小説というよりかはほとんどが史実である。

弱小の島国の将来を憂いて命を賭す当時の日本人の様子に深く感動した。

坂の上の雲を読んだ次に読んだのが、

殉死 (文春文庫)

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司馬 遼太郎
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上掲載の殉死。

坂の上の雲で第三軍司令官として旅順要塞攻撃を率いた、乃木希典にスポットライトをあてた本。

司馬は総じて乃木を無能の大将と評価する割に、乃木の人間性や生き方にとても興味を抱いているのが伺える。

日本最後の武士道精神を持つ男とも呼ばれ、その異常なまでの天皇への畏敬思想は、明治天皇の死と同時に妻とともに自害したことを現す作品のタイトルにも伺える。

無能指揮で旅順攻略を試み、数万の日本兵を無駄死に追いやり、挙句児玉源太郎が実質的な旅順攻略の立役者であるのにも関らず、凱旋後英雄として賞賛された奇特な人生が書かれている。

この間に、

人斬り以蔵 (新潮文庫)

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司馬 遼太郎
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上掲載の人斬り以蔵を読んだ。

大好きな時代物の短編集で、楽しかった。

小さいころに見た『お～い竜馬』　の漫画の以蔵の顔を浮かべながら読んだ。

司馬遼太郎シリーズを読み終え、これを機に以前雑誌で見ておもしろそう…と思っていた、

最高処刑責任者 上巻 (1) (新潮文庫 フ 42-7)

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最高処刑責任者〈下〉 (新潮文庫)

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ジョゼフ フィンダー
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上掲載の最高処刑責任者上下巻を読破。

売上下降気味の営業マンが、元特殊部隊の訳あり人物、カートの就職の斡旋をするところから物語が展開していく。

大企業の営業の裏側ってこんなのかなぁ…なんて想像をしながら一気に読破できた。

エピローグの書き方といい、クライマックスといい、ハリウッド映画を見ているような物語展開が面白かった。

読書の秋最後の本は、

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))

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山崎 豊子
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上掲載の不毛地帯１～５巻。

どうも現在テレビドラマを放送中らしいが、そんなのも全く知らず。

第二次世界大戦の終戦後、11年間のシベリア抑留を強いられた元陸軍大本営参謀中佐の壹岐が、第二の人生として商社を選び、忘れられない過去や人の死を常に抱きつつ生きていく、壮大な物語。

軍隊から商社への転身という、一見して正反対の職業を、大本営参謀の作戦力・組織力を使ってこなしていくストーリーに寝る時間も忘れて惹きこまれていく。

これを読んで、謀のおもしろさ、人間としての芯を貫き通す難しさ・大切さなど、壱岐の生き方に学ばせられることが多々あり、視点のつけどころのバリエーションや視野の広がりを得られたように思う。

以上、この間にもちょこちょこ他の本も読んでいたが、こうして見てみると、ほぼすべての作品に『戦争』という要素が入っていた。

また、最高処刑責任者と不毛地帯の、同じくビジネスの現場を舞台としているにも拘わらず、正反対のクライマックスを迎えるなど、これらの本全てがひとつのストーリーのように共通性を持っている点も今気づいた。

何にしても、たまには現実世界から離れて、小説の主人公の人生をのぞき見することも自分の幅を広げる良い手段であるな、と思った。

是非是非暇な人は読んでみてください。