〈Jー3 悪夢の細菌感染〉
一時間経ったところで、
長男が、
「こんな、苦しそうな父親は初めてだ。
普通じゃないよ」
と言って、退室していきました。
看護師さんが、
30分に一回くらい、入室してきて、
夫の体温や血圧を測って、出て行きます。
その度に、
「なぜ、医者が来て、
処置をしてくれないんだろう。
なぜ、ICUに運ばれないんだろう?」
と、不可解な思いが募ります。
時間だけが経過していく、
昼下がりの病室。
突然、夫が噴水のように嘔吐したのです。
ずっと点滴だけで、
生きている状態ですから、
吐いたのは、
点滴液と同じ、ピンクの液体です。
夫は、顔を動かすこともできず、
ただ口から嘔吐して、
ぐったりしているだけ。
慌てて、ナースコールを押して、
「今、噴水のように、
何度も嘔吐しました」と、告げました。