〈Fー8 最後の賭け〉
そもそも、
「脳死肝移植は、
宝くじに当たるようなもの」
という現実と、
「あと何か月かで亡くなる」
という現実を、
はっきりと口にした、当の医師が、
「最低でも、
50%以上成功する手術しかしません」
と、明言しつつ、
「移植の可能性が、0,0001%の
脳死登録をして、待ちましょう」
という、矛盾に満ちた提言を、
しているのです。
3・「35%ルール」を、私は当初、
絶対視していました。
けれども、確か移植医は、
「33%あれば、大丈夫なんですが…」
と、言っていました。
例えば、
一人しかいないドナー候補の左葉が、
34%だとしたら、
大丈夫なはずなのに、
大学病院は「ノー」を突き付け、
脳死肝移植への登録を勧めて、
それで終わりにするでしょう。
末期の肝硬変患者には、
人工透析のような、
生き延びる手立てはなく、
移植以外には、
死を待つしかないと、分かっていても、
35%の壁は、
崩せないのでしょうか。
肝臓は、驚くべき修復力を持っている、
臓器なのに…。