〈Eー2 不退転の覚悟〉

 

「昨日、カンファレンス(検討会)で、

話し合いましたが、

今回、奥さんをドナーにして、

移植を行うのはやめよう、

という、結論になりました。

不可能ではないんですよ。

ただ、危険が多いので、

見送らせてもらいます」

 

予想外の、断りの電話でしたが、

私は妙に、落ち着いていました。

春のお彼岸の、

やわらかな日差しが、

電話台のところまで届いていた光景が、

忘れられません。

 

茫然とした時間を経て、

子どもたちに、

移植を断られた旨の連絡をしつつ、

病院側に、

「娘たちが、

ドナーを希望しているから、

検査をお願いしたい」

と、伝えました。

 

一方で、海外移植も、

視野に入れ始めました。

何より、夫を、

絶望に追いやりたくありませんでした。

 

私がドナーを断られたことを、

夫に伝えたときも、

「駄目ではないんだよ。

△なんだからね」

と、強調しました。

 

「こんなぶざまな姿で、死にたくない」

そうつぶやいた夫を、

何としても助けたい。

…その一心でした。

 

 

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