列車は、南アルプスの渓谷を、
ゆっくりと進んでいきます。
トンネルが間近に見えてくると、
すかさず、こんな案内が入ります。
「まもなく、トンネルに入りますが、
トンネルの中が、
ギャラリーになっています。
列車は速度を落として走行しますので、
四季折々の沿線風景のフォトパネルを、
どうぞお楽しみください」
というアナウンスの後、
乗客がパネルを見やすいように、
列車は、減速してトンネル内へ。
すると、真っ暗なトンネルの壁面に、
鮮やかに浮かび上がる、
美しい沿線風景のフォトパネル。
…全部で15枚くらいでしょうか。
ある時は、桃源郷かと思うような、
満開の桜に覆われた山あい。
ある時は、瑞々しい緑に埋め尽くされた、
沿線のモミの木や茶畑。
ある時は、絵の具をばら撒いたような、
色鮮やかな紅葉。
そしてある時は、一面の雪景色と、
居ながらにして、
トンネル内のフォトギャラリー鑑賞が、
出来る、渾身の乗客サービスです。