それにしても、【恐るべし】です!
あの日の一部始終を、目の当たりに見聞したのは、
たまたま病室にいた、私だけ…
遠く離れた東京の大学病院で起こった異変など、
知るよしもない医師が、
「おかしい」と、きっぱり、
医療処置の不手際を、指摘したのです!
患者にとって、拠り所となるはずの〈病院〉
患者家族からは、
『病状が急変しても、入院しているから安心』と、
絶大な信頼を寄せられている〈病院〉
…つくづく、病院という医療機関は、
両刃の剣そのものだな、と思いました。
肝硬変末期の夫に、高度な症例のない手術を施し、
刃の切れ味を十二分に駆使して命を救ってくれたのは、病院。
けれども、もう一方の鋭利な刃は、
術後の合併症と闘っている、抵抗力のない夫の身体を、
容赦なく切り刻みました。
あの時…移植された肝臓が、一日毎に大きくなりながら根付き、
それを希望にして、懸命に苦しさに耐えていた夫が、
突然、死の淵に追いやられたのです。
医療ミスがマスコミの話題になると、病院側は決まって、
「二重三重のチェック体制をしっかりと確立して、
今後こういう事が起きないように再発防止に努めます。」と、
神妙な表情で、謝罪会見を行います。
ですが、根本の病巣は、極めて単純なところ、
(それだからこそ、繰り返して徹底し確認せねばならない事、)
にある、と痛感します。
何の為の体温測定?
何の為の回診?
『37・5度の体温になったら感染症の恐れあり』と、
教えられていたっけ… あれは誰の為の説明?
…患者の重篤な異変に気付けないような、
ルーティンワーク化した医療看護は、
【密室での医療事故】の温床になりかねない。…
それを学んだ私でした。