《この言葉の背景》
「私達は、人工透析で苦しむ患者をずっと診てきている。
何とか助けたい。何とか苦しみから救ってあげたい。
でも、腎移植をするにも、
ドナーが圧倒的に不足している現状では、
限界があるのは、はっきりしている。」…
こうして、万波医師はじめ「瀬戸内グループ」の医師達は、
修復腎移植に踏み切り、
彼らに共感する広島・岡山・香川の病院からは、
腎臓の提供がありました。
ですが、そうした現場のひたむきな努力は、
(〈思考停止〉に陥り、〈ヒステリック集団〉と化した)
マスコミや医師会のバッシングの嵐の中で、
かき消されてしまいました。
《その4 補足の言葉》
「私は、家族のためにも
『恨み』に力を使わないと決めていました。
誰も幸せにならないからです。」
…これは、平成6年の「松本サリン事件」で、
第一通報者だった、河野義行さんの言葉です。
河野さんは、マスコミや警察によって容疑者扱いされた上に、
サリン中毒で重い障害を患った妻(その後死亡)を看取る
など、凄惨なテロの被害者でありながら、
すべてを許した方です。
私が尊敬する市井の人でもあり、
「不当なバッシングを受けた」という点で、万波先生と重なり、
ここで取り上げたかったという訳です。
「一生恨んでやる!!」と、
叫び続けても良さそうなのに、
河野さんは、それに封印をしたのです。
素晴らしい覚醒の言葉だなあと、いつも感動します。
そして、万波先生も、誰を訴えるでもなく、
淡々と、これまでの凄まじいバッシングを受け流して、
今も、休みなく診察・手術を続けていらっしゃる…
私の中では、河野さんと万波先生が、
ひそやかなのに輝く存在として、共鳴しあっています。