スーパーへ牛乳を買いに行っただけなのに、気づけばレジかごにはキャラクターのシール付きお菓子。


忙しい毎日を送る私たちにとって、キャラクターグッズは「癒やし」を超えた、何か特別な意味を持ち始めています。


特に、アニメやSNSで大人気の『ちいかわ』は、子どもに買うフリをして、つい自分のためにキーホルダーや文房具を買ってしまうママが続出中です。


「だって、かわいいから」――もちろんそれが一番の理由ですが、家事や育児、仕事に追われる日々の中で、なぜこれほどまでに私たちは彼らの魅力に心を奪われるのでしょうか。


その裏には、現代のママたちの心理に深く関わる3つの共感と愛情の理由があります。



「完璧じゃない」からこそ共感する、現代の現実


不完全で、健気に頑張る姿が自分と重なる

かつてのキャラクターは明るく元気で完璧な存在が主流でしたが、今、私たちが惹かれるのは、少し違う存在です。


『ちいかわ』の主人公たちは、可愛らしい見た目とは裏腹に、生きるために「草むしりや討伐」といった労働でお金を稼がなければなりません。


優しくて友達思いなのに、いざという時には「臆病で泣き虫」になってしまうちいかわの姿。


この不安定な労働と隣り合わせの世界観は、仕事や育児、家事に追われ、”終わりのないタスク”に奮闘する私たち自身の日常と痛いほど重なります。


可愛さというオブラートに包まれながらも、常に何かに追われ、健気に頑張らなければ生きていけない彼らの姿は、単なる癒やしではなく、「私だけじゃない」という深い共感を呼び、私たちの頑張りを肯定してくれるのです。








我が子と重なる「拡張自己」。守りたい母性の受け皿


いつまでも「小さくてかわいい」存在への愛情

なぜ、私たちはキャラクターのぬいぐるみを大切にしたり、キーホルダーをつけたりするのでしょうか。


そこには、母親が我が子を「自分自身の延長」として捉え、強い保護欲求を抱く「拡張自己(Extended Self)」という心理が働いていると言えます。


作品の正式名称は『なんか小さくてかわいいやつ』。


この「小さくて、かわいい」という言葉は、私たちが日々「守ってあげたい」「応援したい」と願う我が子への眼差しそのものと重なります。


子どもは日々成長し、少しずつ親の手を離れていきます。


その成長は喜ばしい一方で、母親の「守り、育てる」という本能的な愛情の役割が変化する寂しさも伴います。


そんな複雑な感情の受け皿として、決して成長して手を離れることのないキャラクターたちは、いつまでも変わらない愛おしさを注げる安定した存在として、私たちの心にそっと寄り添ってくれるのです。








日常の動線にある「小さなご褒美」戦略


時間も予算も負担にならない心の栄養補給

ふと気づけば、コンビニのお菓子売り場、スーパーの食玩コーナー、ファストフード店のセットメニュー。


私たちの日常のあらゆる場所にキャラクターは存在します。


この背景にあるのが、低価格で、高頻度に、日常の動線上で接触できる商品に重点を置いた巧みな「メディアミックス」戦略です。


家事に仕事に忙しい母親にとって、高価な大型商品ではなく、数百円で手に入るシールやキーホルダーは、日用品を買いに出たついでに手に入れられる「小さなご褒美」です。


予算的にも時間的にも負担が少なく、つい手を伸ばしてしまうこの行為は、多忙な日々を乗り切るための、ささやかで大切な心の栄養補給なのです。







まとめ


私たちがキャラクターグッズに惹かれてしまう理由。


それは、単なる可愛さだけでなく、私たちの心の感情を映し出す鏡のような存在だからです。


 不条理な現実への「共感」: 

必死に頑張る姿が、日々奮闘する私たち自身を映している。


 拡張自己としての「愛情」: 

いつまでも変わらない存在に、我が子への愛おしさを重ねている。


 日常に溶け込む「癒やし」: 

忙しい毎日の「小さなご褒美」として、心の栄養を補給してくれる。


次にあなたがキャラクターグッズを手に取ったとき、その行為は、あなた自身の日々の頑張りを肯定する、小さくて確かな証なのだと、自分自身を褒めてあげてください。

 

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