ひとつ前にその1があります。良かったらそちらも…
その1はこちら←
大きな雨粒が一つ…ボトリと額を濡らした。
「冷たっ!」
今日は何時にも増して冷える、空の色もどんよりと薄暗く、そう遠くない時間に雨が降るだろう…
そう思って空を見上げた瞬間だった。
降ってきた!
そう思った時にはあっというまに幾億もの水道を全開にしたかのような勢いで振り出した。
「これじゃぁ雨の降ってくる瞬間が好きなんて言ったこと訂正しなくちゃー」
すでにびしょ濡れの外套の袖で自分の頭をかばうように抱え込んだウンスは楽しそうに口の端を上げて叫びながら近くの小屋の軒下へと走った。
軒下にたどり着いたウンスは自分の来ている外套の前を開いて衣の裾を恨めしそうに眺めた。
新しい年を迎える日に着てくださいと王妃様から贈られた綺麗な色のチマチョゴリ
突然のどしゃ降りの中を走ったせいで裾が泥だらけになってしまった。
「あぁ…もうっ、なんでこんなに走りづらいの?スーツ着て高いヒール履いてたってもっと早く走れたのに」
ととっ…。
そこまで言いかけて口を手でふさぐ。
一人でいるときに容易な事を口にしてはいけないといつも言われている
とはいってもこの大雨じゃ声も雨の音にかき消されているだろう。
今頃、一緒に来てくれたムガクシのウォルが心配しているだろう…
市に行きたいと言い出したのは私だ…
この衣装を一番見て欲しい人がそばにいないことが寂しくて憂さ晴らしに外に出た
せっかくの大晦日だし、人のにぎわいを直にこの目で確かめて見たかった。
町で暮らす人々の様子に触れて見たかった。
それなのに、まさか人混みではぐれてしまうとは…
気は焦るのに雨は小屋の軒下と外側にまるで境界線のように分厚いカーテンを引いてウンスの行く手を阻んだ。
ヨンがいたらウォルが怒られてかわいそうなことになっていたかもしれない。
「ヨンがいなくて良かった」
「誰がいなくて良かったんですか?」
後ろから声が聞こえてぎょっとした。
振り向いてみるといつの間にか小屋の入り口にチェヨンが立っていた
「ヨン」
あんまりにも驚いて再び雨の中に逆戻りしそうになるウンスの腕をヨンが掴んで止めた。
「また濡れるつもりですか?」
「あ、あ、あ、あ…あなたどうしてここに?ここの小屋にいたの?」
「いいえ、走り出したあなたを追いかけてここに来ました。」
「だって、ここから出てきたわよね?」
「いいえ、よく見てください」
そういってヨンが入口の奥を指さす。
ウンスは入口の中にひょいと顔を入れて中をのぞいてみれば小屋は半分から後ろが壊れてなくなっている
「あら…」
「こんな壊れた小屋に向かってあなたが“楽しそうに”走っていくのが見えて、追いかけてきただけです。」
「もう…びっくりしたわよ…」
「あなたが一人で走っていたことの方がよっぽど驚きです。それも“楽しそうに”」
「うっ…だって人混みでよくわからなくなっちゃって…それで急に雨でしょ?あわてちゃって…
別に“楽しそうに”なんかしてないわよ」
ウンスは気恥ずかしくなって頬をふくらました。
ヨンは額に手を当てて眉間のしわを隠すようにしてうつむくと
フーッと息を吐いて再び顔を上げてウンスを見た。
「本当に…あなたという方は…急いで来てみれば…目の前で迷子になってるではありませんか…まことに信じがたいことばかりする」
屋敷に戻って家の物に市に出かけたと聞かされた時には驚いた。
自分がいない間、交代でついてもらっているムガクシと一緒に行ったとは聞かされても
この方の事だ。何をやらかすか予測ができない…まったく安心できなかった。
ましてや年の瀬の市は活気にあふれるというのを通り越して殺気すら感じるというのに…
そのまま屋敷に上がることなく急いで馬を飛ばして市に来てみればこの様だ。
偶然にも見つけられたから良かったものの…
ヨンはただでさえ自分がいつもそばで守ってやれないことがもどかしいと言うのに、この状況を楽しんでいるようにすら見えるウンスに苛立ちを隠せなかった。
「ご…ごめんなさい」
ウンスがしゅんとして覗き込むようにヨンの胸元に近づいた。
その表情を見てヨンはハッとなる
自分のつまらない嫉妬でウンスの笑顔を曇らせたのだ。
「いいえ…あなたが悪いんじゃありません。謝らないでください」
ヨンがそういうと、ウンスの顔がパッと明るくなった
「そうなの。私が悪いんじゃないわよね」
「は?」
なんだその開き直った物言いは?
少しは言い過ぎたかと優しい言葉を掛けてやったと言うのになぜそこで開き直る?
ヨンが呆れて口を開けたままウンスを見つめていると言葉を発する間もなくウンスが先にまくしたてた
「そう!天界が悪いのよ。私のいた時代がね。
もうね、スマホとかで地図とか見なくちゃ絶対に道がわからないような、
入り組んだところなのよ。お店や建物も次々に新しくなるし、
お店もどんどん変わっちゃうから、以前の知識が役に立たないの、
だから道なんか覚えていてもま~ったく意味が無いの!
そうよ!だから私が方向音痴になっちゃったのよ!そう!絶対そうなの!」
スッキリした、とでも言わんばかりに満足げのウンスが真面目な面持ちでヨンを見上げている
ヨンは呆れつつも天界の事を考えると妙に納得できなくもないような、複雑な気持ちになった
確かに天界人が入り組んだ世界で暮らしているというのはうなずける。
一度見たら忘れられないあの光景
天まで伸びる建物の数々…
あんなものの中で多くの人が暮らしているなど…
実際に見て見なくては誰も信じないだろう
そんな世界では道も覚えることがままならないのか…
まことに住む世界の違うお方なのだな、ここで迷子になるのも仕方がないのか…
だんだんと妙に納得してしまっているヨンだった。
だが しかし
ちょっとまてよ?結局いつもこの人に良いように言いくるめられているのではないだろうか…?
ヨンがそう気が付くのはもうちょっと後の事。
-終わり-
<おまけ>
「おかげでせっかく見せたかったのに、これ…汚れちゃったわ」
しょんぼりとしたウンスが外套の前を開いてみせる姿を見ていたヨンは自分の外套を脱いで
ウンスに渡した。
「なに?」
渡された外套の意味が解らずにヨンと外套を交互に見るウンス
「こちらの方があまり濡れていませんからお着替えを」
「あ、ああ…ありがとう」
「その裾は…帰ったらすぐに洗えば綺麗になるでしょう」
「本当?落ちるかな?なら良かった~」
「…その…」
「え?何?」
「お綺麗です…」
「ね、これ綺麗よね…王妃様がくれたのよ」
「そうではなくて!」
「え?」
「あなたが…です。裾が汚れていようと…その…よくお似合いです」
「…褒めてくれてるの?それ」
「…それ以外になにか?」
「い、いえ、素直にうれしいです。ありがとう」
不器用な褒め方だけど、何はともあれ大みそかにヨンと一緒に過ごせることが嬉しいウンスでありました。
**ほんとに終わり**
わーすみません…あまり意味の無い物になりました。
ラジオで良くかかる♪ピガオミョン~(雨が降れば)♪っていう男女のデュエット曲があるんですがそれを聞いていてなんとなく書こうと思ったお話でした。
りえさんのグルっぽにネタの種のスレに上がっていたお題にリンクさせていただいたんですが
どうにもまとまらない意味のない展開になってしまいました…チョンマルミアネヨ~。
今年1年、仲良くしてくださった皆様本当にありがとうございました。
シンイをはじめ、韓流ドラマのおかげで楽しく過ごせた日々でした。
良いお年を!2016年が皆様にとって素敵な年になりますように。
世界が平和になりますように。
そしてまた来年よろしくお願いしま~す♪♪♪
では寝まーす(笑)。←予約投稿ですので…。