大変長らくお待たせしてしまい、お待ちいただけた方には本当にすみませんでした

いっそのこと最後まで書き終えてからどどどーと更新しようかとも考えたんですが
先を想像したら気絶してしまったので今まで通り小出しにします。
やっぱりユンウォルの話は書くんじゃなかったと半分後悔しつつも
どうにかもっと良い感じに書けないものかといろいろと試行錯誤していましたが、
結果的に今はこんな感じになってます…と言っても今回は出てないけど
お得意の時間旅行(お話の前後)がありますので前回のお話とつながらないかもしれませんが
続きをお待ちください。
今回はたぶん3話くらい更新できそうです。
いつも公開する直前まで悩みに悩んでいるので、急な変更が無ければの話ですが。
ちょびちょびで本当にもうしわけない。
あ、あと信義オンリー廃人の方はここでUターンです
!
!では前置きが長くなりましたが「イニョン王妃の男」 二次的話(小説というのはおこがましい)
胸の奥43 でございます。
*** 43 ***
ヒジンは久しぶりに部屋にもどった。
ブンドと別れてからすぐ、まだ夜も明けきらないうちにスギョンに電話をかけると
第一声をこう叫んだ。
「路頭に迷いたくなければ今日のスケジュールを開けて~!」
幸い、口の達者な敏腕マネジャーのおかげでヒジンの願いはどうにか叶ったが、
さんざん嫌味を言われることになった。
もっとも、休みのとれた今となってはヒジンにはそんな嫌味も小鳥のさえずりのように感じられた。
大量の食材を買い込んで部屋に帰るとブンドは不在で、
ひさしぶりに見るその部屋は綺麗に整頓されて生活感が感じられず、どこか冷たかった。
そのままキッチンへと駆け込み、不慣れながらも料理を作り始めたが、すぐに挫折しそうになった。
以前からほとんど料理をしたことのなかったヒジンは、ブンドと暮らすようになっても
相変わらず料理の腕は上達せず、そのうちに朝食などの軽い食事をブンドが作るようになって、
ますますキッチンから足が遠のいた。
それでも今日こそは、と慣れない手つきで野菜を切り始めると、とたんに指先を切ってしまい
何度も絆創膏を指先に貼り、どうにか食べれそうな感じのものが数品完成したころには
日差しもだいぶ傾き、窓からは西日が差しこんでいた。
「もう…、午前中から一体何時間かかったの?」
ブンドが帰ったら驚かそうと思って用意したつもりだったが、
別の意味で驚かせてしまいそうな料理の出来栄えにヒジンは気が遠くなりそうになった。
相変わらず上達の気配を見せない自分の料理の腕前にがっかりする。
「これは…、本気でお料理教室にでも通わなくちゃダメよね…?
いっそのことお料理番組の仕事でもこないかな…」
ちゃんとした家庭料理をブンドに食べさせてあげたいと思うものの、
半ばあきらめの気持ちにも似た思いが湧きあがり、
今までよくも我慢して食べていてくれたものだ…とブンドの我慢強さに今更ながらに感心した。
いまだ戻らないブンドのことが気になりヒジンは携帯を手に取った。
呼び出し音がなり、しばらくしてから電話がつながった。
「あ、私…」
電話の向こうでブンドが話し出すよりも早くそう切り出したがその瞬間ガラスの割れるような
音が聞こえてきて電話が切れた。
「え?ちょ…」
ヒジンは自分の耳を疑った。
何かが割れるような音のする直前、ブンドの叫ぶ声が遠くでかすかに聞こえた。
ユンウォル!
…と。
ヒジンはその名前に聞き覚えがあった。
以前聞かされたことがある。
家族のように大切な人たちがいたと…その時に聞いた名だ。
ハンドン…マクトゥンイ…ユンウォル…
ユンウォル…?
何でこの時代に彼がその名を叫ぶというのだろう…?
考えれば考えるほどわけがわからなくなり、鼓動が早くなる…。
そのうち、自分を取り巻く空間の空気が薄くなりはじめ、気持ちを落ち着かせようと
ヒジンは自分の胸をたたいた。
その時、ヒジンの手の中で携帯が鳴った。
携帯を落としそうになりながら、震える手で慌てて画面を指でスライドする。
「もしもしっ?」
「私だ」
その声はブンドの物だった。
「あぁ…」
その声を聴いた途端、ヒジンの胸に大量の空気が一気に流れ込んだ。
「驚かせて すまぬ」
それを聞いたヒジンは、足の力が抜けて立っていることができなくなり、
その場で座り込んでしまった。
ヒジンはもう一度携帯画面を覗き込んだ。そこには知らない携帯の番号が映し出されている。
「どこだ」
「…家にいる」
「家か?」
「一体何があったの…?さっきのは何?誰の携帯から電話してるの?」
「すまない…問題が起きて」
「問題って何…?どうして電話があんな風に切れるの?」
ブンドは知人の大学に来ていることと携帯を無くしたことをヒジンに伝えると
すぐに戻るから心配しないで待っているようにと伝えて電話を切った。
電話を切った後、ブンドに何かあったのではないとわかってホッとしたヒジンは、
その場に座り込んだまましばらく動けなかった。
ぼうっとしたまま考えを巡らせていると今度は別の事が気になってきた。
電話が切れる前に聞こえたユンウォルという名前。
そしてあの携帯…
彼が過去の時代まで持って行き、そして彼を現代に呼び戻したあの携帯…
二人を再び引き合わせてくれたあの携帯がもしなくなったり、壊れたりしたら
自分たちはどうなってしまうのだろう…
今まで考えもしなかったことまでが気になり始めてヒジンはゆっくりと立ち上がった。
とにかく彼の元へ行って見よう。
彼の言っていた音大ならそう遠くはないはずだ。
行って顔を見ればこの不安な気持ちもきっと消える。
ブンドは待っているように言ったがじっとしていられない。
そう思ったとき、ヒジンの携帯が再び鳴った。
「今どこ?」
「俺なら、お前の家のそばだけど?」
慌てて電話に出ると相手はブンドではなかった。
「ジェ…イ?」
その声はパク・ジェイの物だった。
ジェイは地方のドラマ撮影の合間を縫ってヒジンに会うために、ヒジンの家の傍まで来ていた。
「キム・ブンドはいないのか?」
***つづく***
似たような流れになったのでちょっとだけドラマのセリフを再現しちゃいました(笑)。