胸の奥 33 | 水鏡殿

水鏡殿

イニョン王妃の男にハマり
シンイにハマり
「君の声が聞こえる」でイジョンソクにハマりました(笑)
韓国ドラマと中国ドラマ、たまにタイドラマを見て書きたいこと書いてます。
読んでくださってありがとうございます❤️

夜が明けるまでの数時間…ブンドとヒジンは二人きりで病室で話をした。



ヒジンが目覚めた時、ジェイはすでにいなかった。
時代劇の撮影で地方のロケ現場に行かなくてはならなかっためにそのまま帰ったとブンドから聞かされた。

ジェイにはブンドの言うことをすべて理解できたわけではなかったが、
否定しきれない数々の出来事を整理する時間が必要だった。

ヒジンはジェイがブンドの大学の事を調べるとは思っても見なくて驚いた。
それよりももっと驚いたのは、ブンドとジェイにつながりがあったことだった。
これも必然だろう…とブンドに言われヒジンは考えていた。

ジェイとブンド…過去とのつながり…
ブンドが過去とつながることがあるのはヒジンには大きな不安だった。
二人の間に何かしらのつながりがあるとわかってさらに複雑な気分だった。

じゃぁどうして私とジェイは知り合ったの…?
それも必然だというなら私がジェイを慕うことは、彼を苦しめること…?

ヒジンにはわからなかった。

「あるいは…これは私の背負った業ではないだろうか…あの者にあの者の業があるのと
同じように、私にも断ち切らねばならない業があるのかもしれない…」

「あなたの業って何…?」

「それが簡単に分かれば苦労はせぬ…」

「頭のいいあなたにもわからないことはあるのね…」

「難題だ…」

「ぷっ…」

「…?なぜそこで笑う?」

「だって…皮肉を言ったつもりなのに…真面目に答えるから…」

「…真面目で悪かったな」

二人は見つめあってくすくすと笑いだした。
そうして少しだけ気持ちがほぐれた後にブンドはふと真面目な顔に戻った。

「不安か…?私がまたいつ…いなくなるか…」

ヒジンは自分の心臓がドキンと大きく音を立てた気がした。

「……」

ヒジンはしばらく考えていた…
自分の気持ちを認めてしまえば、彼を余計に悩ませることになるのではないかと怖かった。

一番不安なのは彼自身なのだから…

「不安なのであろう?」

ブンドは引き下がらなかった。
ヒジンが以前からこの話題を避けているのはよくわかっていた。
わかってはいても…ヒジンが倒れるほどの我慢をしていたことに気が付いてやれなかった。

「そなたの気持ちを聞かせてくれぬか…」

そういわれて、ヒジンの瞳が一気に潤んだ。
大粒の涙が今にも零れ落ちそうになった。

「…大丈夫って思いたいけど…忘れられないの…あの時の事」

初めての正式なデートの夜…公園で、ブンドは突然に消えた。

それがヒジンにはトラウマになっていた。

「確かに…何一つ確証はない…今この瞬間にも私は消えるかもしれない…」

そういわれてヒジンはブンドの腕をつかんだ。
涙がぽろぽろと零れ落ちた。

「やめて、怖い」

ブンドはヒジンの手をそっと外すと、ヒジンの体を抱き寄せた。

「すまない……私はあまりにも無力だ…」

「謝らないで…」

「口惜しいが…絶対に居なくならないと…約束ができない」

「解ってる…あなたのせいじゃない…」

「だが…必ず戻ってくる」

「もしまた過去に戻されても…今度は絶対にあきらめない…それだけは約束する」

「うん…」

「どんなに離れても いつでも愛してる…」

「…私も…愛してる…」

ブンドに抱きしめられながら、ヒジンは声も挙げず、静かにぽろぽろと涙を流し続けた。
気持ちは不思議と落ち着いていたが、ため込んだ涙はどうしても止まらなかった。

そして外は少しずつ明るくなっていった。



***つづく***


「Blind Love」 再び。

やっと、なんとなく終わりに向かっている…ような気がするでしょ?
どん底に暗いけど、がんばってもうちょっとお付き合いくださいねー。
今ここで脱落しちゃダメですよー。いろんな意味で。