いすけ屋


 私個人的には、こういうことは大した問題じゃなくて、結果がすべてだと思っている。どんなに偉い科学者でも、叩けば埃ぐらいは出るものだ。なのに、大した問題でもないのに周りが騒ぎすぎるのと、ここぞとばかりに大した成果もあげていない先生がいろいろ御託を並べるから、こんなことになるのだ。そもそも理研の調査委員会が日本人得意の自虐感に襲われて、ひとり悪者をつくり、「自分たちは悪くないよ」と責任逃れをしようとしたことから、一連の問題が始まったのだ。米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授のように、大きく構えれば、ミスを直すだけで済んだ話だ。ただし、以前からあり得ないと考えてきた科学者は、どこまで踏み込んで調べたのか知らないが、論文を攻め、「STAP細胞は無い」とまで断言している人もいる。もし、STAP細胞があった場合、どんな対応をするのかな。ついでに、石川調査委員長の件も私のレベルでは別に何の問題もないと思う。

 STAP細胞問題は再現実験を公開すれば、ある意味、それではっきりする問題ではある。ただ、成功率は100%ではないから、ある程度の回数は必要となる。今のマスコミレベルを考えると、1回失敗すれば、それだけで「やっぱり、STAP細胞は無かった!」とか大見出しで商売に利用するだろう。見世物でもあるまいし、やはり、理研の再現実験メンバーに小保方さんを入れて、再生してもらうのが一番だろう。

 山中教授の話では、「自分のノートはあるが共同研究者のノートは無く、生データを示せない」ということで、結局データの元がないということじゃないの
か。実験ノートとうるさいが、これはイギリス発のISO管理システムからきていると思う。1994年にISO 9000シリーズ(品質)は改訂され、この時日本のあらゆる企業がこのISO認証取得に走った。ISOシステムを一言でいうと、『文書化』するという事だ。その中に「トレーサビリティ」という要求項目があり、製品あるいはサービス提供後にクレームなどが発生した場合、組織がどこまで製品あるいはサービスの内容を追跡できるかを担保することだ。その為、日々の記録を絶えず残すことが必要となる。その方法が、実験ノートに記録するという事で、このことはまったく正しい。

 しかし、今はパソコンに記録する時代である。コンサル業務でも日報を官から要求されることがあるが、メールで電送すればよい。最後に図面も含めて「電子納品」が仕様である。CDに報告書すべてを書きこむので、改竄は出来ない。また、科学は捏造してもすぐにバレる。だから、よっぽどの間抜けでない限り「捏造」なんて」やらない。小保方論文を「使いまわしの・・・」と表現する文系は、「コピペ=悪」という認識で固まっているんだろうが、理系はあっちこっちから「説」「論」「公式」を引っ張ってこなくては説明できないから、出典さえ明記すればよい。この辺の感覚もずいぶん違うようだ。

 とにかく、あの山中先生でも、つつけば何かが出てくるかもしれないが、別に論文の本質をゆがめるものでなければ、いいではないか。日本人は厳格すぎる。だからこそ、いい製品を世界に輸出出来ているのかもしれないが、事と場合を使い分けてもらいたい。ほんとの強姦殺人を殺人罪に問わなかったり、逆に女子学生に嵌められたバカな金メダルコーチを感情で裁いたり(自業自得ではあるが実刑はきつすぎる)、8億円を選挙前に借りても選挙費用とは認めなかったり、嘘つき新聞が未だにのさばっていたり、真に改めるべきはいっぱいあるだろうに・・・。