日経平均終値、636円高…今年最大の上げ幅に
(2013年6月10日18時35分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130610-OYT1T00666.htm?from=ylist


 週明け10日の東京株式市場は、前週末の米株高を受けて全面高となった。


 日経平均株価(225種)の終値は前週末比636円67銭高の1万3514円20銭だった。上げ幅は今年最大で、2008年10月以来、4年8か月ぶりの大きさだった。


 前週末に発表された米雇用統計を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和を縮小するとの観測が後退し、ニューヨーク市場のダウ平均株価(30種)が大幅高となった流れを引き継いだ。


 安倍首相が、秋に企業向けの投資減税を柱とする新たな成長戦略を示すと明言したことや、外国為替市場で一時、1ドル=98円台半ばまで円が下落したことも株価を押し上げた。自動車や電機などの輸出関連株を中心に、幅広い銘柄に買い注文が集まり、東証1部の97%の銘柄が値上がりした。




いすけ屋


 先週、500円超の平均株価の値下がりがあった時は、どのテレビ局も大騒ぎでこれを伝え、アベノミクスの批判に集中した。ところが今日の636円の値上がりについては、何の考察もつかない。株価は金融緩和及びネットと絡んで、その値動きは大きくなっている。



 急な値上がりには必ずその調整がある筈だし、日本の経済見通しが将来明るいものであれば、最終的には上がってゆくだろう。株価の変動はアベノミクスとは無関係である。ただ、日銀の金融緩和策は円安へと導いたものだ。黒田日銀総裁は「異次元緩和」と大ボラを吹いたが、投資家がまんまと引っ掛かったにすぎない。



 小泉政権時の量的緩和に比べて、今回はまだそのレベルに達していない。円安スピードが急であったため、日銀は多少控えめになっていると思う。まあ、1ドル=100円程度なら、いいのではないか。



 民主党は10日、参院選マニフェスト(政権公約)の最終案を発表した。「アベノミクス」を批判し、歳出改革と成長戦略による財政再建の実現を柱に打ち出したが、具体的には何も示されておらず、批判のしようもない。ただ、歳出改革とは財政基盤を重視したこれまでの民主党政権での政策と同じであり、失敗することは目に見えている。なぜ、政権時の自分たちの政策を反省しないのか。



 安倍さんの政策も、半分財政再建派の意見が採用されているが、デフレ脱却までは財政再建はブレーキを踏むだけであり、やってはならない政策だ。自民党も、これまでの度重なる失敗を、まだ総括出来ていない。マクロ経済上、日本は財政を気にしなくてよい唯一の国だ。20年間のデフレ国家の経済運営を、会社の経営と一緒にしてはならないのだ。



 わが国の「通貨」は 「政府貨幣」と「日銀券」より成っている。また、通貨に関する基本法である「通貨の単位および貨幣の発行に関する法律」(昭和62年、法律第42号)では、「貨幣」(すなわち「政府貨幣」)の製造および発行の権能が政府に属するという「政府の貨幣発行特権」がはっきりと明記(同法第4条)されており、その発行には、なんらの上限も設けられておらず、政府はそれを何千兆円でも発行することができ、担保も不要とされている。



 しかも、発行された「政府貨幣」の額が政府の負債として計上されることもなく、その発行額は政府の正真正銘の財政収入になる。マクロ的に生産能力の余裕が十分にある現在のわが国のような状況のもとでは、これは、国民 (現世代および将来世代)の負担にも、いっさい、ならない。要するに、現在のわが国にとっては、このような特質を持つ「国(政府)の貨幣発行特権」の大規模発動こそが、まさに「打ち出の小槌」なのである。政府借金を恐れる理由など存在しないのである。



 ところが、わが国の政策担当エコノミスト諸氏は、この「打ち出の小槌」を活用するということを「禁じ手」のタブーだとして、それを実施してはならないと考えている。しかしながら、これが「禁じ手」であると見なされねばならないのは、インフレ・ギャップが発生しやすいような状態にあるときだけである。ところが、現在のわが国の経済においては、正反対に超膨大なデフレ・ギャップ(すなわち需要不足に起因する生産能力の余裕)が生じているのが現実の状態であり、インフレ・ギャップ発生の怖れは皆無である。したがって、この「打ち出の小槌」の活用を「禁じ手」のタブーだとするべき理由は、何もないのだ。 



 この20年間のデフレ経済は、新古典派「反ケインズ主義」の経済学者、政府ブレーンによって積み上げられてきた。公共事業は実施しても景気回復には寄与しない。政府借金を増やすだけだと公言されて、庶民をだましてきた。すでにアメリカでもEU諸国でも、新古典派「反ケインズ主義」に席巻されており、徐々にマイナス成長、つまりデフレ化に向かっている。デフレ脱出には財政出動による民需拡大しか方法はない。せっかく安倍政権も、その線で出発したのに、色んな諮問委員会がまたまた足を引っ張ろうとしている。竹中平蔵がその象徴である。安倍政権は、このことに早く気付いて、正規の成長戦略に取り組んでもらいたい。