いすけ屋



 皇紀二六七二年 平成二十四年 西暦二〇一二年も激動の年だった。民主党政権は日本を一体何処へ連れてゆこうとしたのか。危うく泥沼に入り込むところで、安倍政権が誕生し、トンネルの明かりが見えたようでホッとしている。



 民主党は代表選挙で野田さんは消費税増税を訴え、それを認めて代表に選んだのであるから、マニフェストに書いてもなかったことを全員が破ったわけである。選挙の惨敗は当然の報いだ。自民党も加担したが、党としては消費税増税は決めていたので公約違反ではない。ただ目的税として高齢化に伴う福祉予算増に使うということであったから、これは守ってもらいたい。ただし、安倍さんが公言しているように附則要綱を守ってのことだ。



 今年を振り返って、今でも気になるのが、2010年9月14日の民主党代表選挙である。ポッポさんの後を受けた菅さんは同年6月にすでにバトンタッチしていたが、代表任期満了による選挙だった。これに小沢さんが立候補して菅さんと争ったわけである。その時の民主党両院議員総会の模様がテレビ中継されたのでよく覚えている。



 情勢は拮抗しており、ポッポさんがどちらを支持するかで決まるということだ。当然小沢有利という下馬評だった。ところが、突然、小沢支持だったはずの原口一博が、「民主党を壊してはならない!」と叫びだし、総理をコロコロ変えてはいけないといった意見を述べ、小沢さんを裏切ったのだ。これを受けて党創始者のポッポさんもこれに同調し、分裂気味だった民主党は一つにまとまり、地獄の第2次菅内閣の誕生となったのである。



 ちょうどこの時刻に、検察審査会は2度目の小沢起訴を決定し、「強制起訴」が決まった。この時はテレビ画面には何もテロップが流れなかったし、視聴者は誰も知らなかったはずだ。あとで調べると、民主党代表選挙の30分前であった。恐らくこの情報は原口、鳩山、いや民主党議員全員が知っていて、小沢さんの有罪を予測したのだと思う。しかし、偶然にしては余りにも辻褄が合わないことが多い。



 検察審査会はメンバーが入れ替わって第2次検察審査会となっていたが、最初の会合が9月8日で、そのとき初めて小沢事件の資料を渡されたという。それからわずか6日後に「起訴相当」の議決を出したということになっているのだ。資料の厚さだけでも15センチもあったというから、そんな短期間に内容がわかる筈もない。ましてや全員素人だ。



 一市民Tさんは多くの証拠を集め、現場での調査、資料分析から山崎行太郎氏とともに「最高裁の罠」という本を出している。私も購読したが、一市民Tさんの出した次のような結論に、全く同意する。
①小沢検察審査会は開かれなかった。検察審査員は存在しなかった。起訴議決は架空議決だった。
②この犯罪を主導したのは検察審査会を管轄している最高裁事務総局だった。
③マスメディアがこの犯罪隠蔽に加担した。



 結局、小沢抹殺国策捜査は、司法の最高権力を使って、冤罪を捏造しようとしたのである。しかるに村木郵政事件や陸山会事件で検察の捏造が明らかとなり、さすがにこれ以上は無理と判断して、良識ある裁判長は「小沢無罪」を判決したのである。ところが、マスコミはそれっきりで、あれほどの小沢バッシングに対しても何の謝罪もしないし、最高裁の犯罪隠蔽に加担したことについても何の弁明もない。



 政治家小沢一郎の評価は色々だが、マスコミ報道をそのまま信じている人は明らかに小沢批判側に立つだろう。今回の選挙での惨敗は、「脱原発」、「反消費税」、「反TPP」とポピュリズムに走れば信頼は薄れ、当然の結果だ。しかし、単に小沢さんが嫌いという人は、政策以前に「未来の党」には投票しない。もともと嘉田という人を選んだ小沢さんの目は、すでに節穴化していると言っていいし、上記「三政策」もボケの始まりかもしれない。ただ、この冤罪裁判は小沢さんを精神的にも追い込んだことは事実であり、何と言っても「フェアー」ではない。



 もし司法に自浄能力があるなら、「最高裁の罠」に反論するなり、国策捜査を命じたホントの犯人をあげて、彼こそ起訴してもらいたい。そうするまで、少なくとも「最高裁の罠」の読者は司法を信用しないだろう。今年で一番嫌な事件であった。



 来年こそは、暗闇のない日本、正義の通る日本、心が豊かな日本、「風」とか「空気」で動かない日本、科学技術を誇れる日本、中国韓国に媚びない日本になってもらいたい。




 本年も「(いすけ屋)の戯言」にお付き合いいただき、有難うございました。来年も、くねくねと拙文をお届けいたしますので、どうぞ笑ってやってくださいまし。 ではみなさん、良いお年を・・・。