【酒井充の政界××話】「竹島問題」にみる自民の本気度
   
2012.12.24 12:00
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121224/stt12122412000002-n1.htm



 自民党が衆院選で約束した「竹島の日」を祝う政府主催の式典開催が、反古になりそうだ。安倍晋三総裁は21日、来年2月22日の式典開催について「大統領の就任式があるので、慎重に検討していきたい」と述べた。韓国の大統領選で当選した朴槿恵氏の就任式が2月25日に開催されることを考慮したようだ。



 安倍氏は今月26日に第96代の首相に指名される。恐らく大統領就任式に出席し、初の日韓首脳会談となる可能性もある。その3日前に韓国側の反発が必至な式典の開催は好ましくないと判断したのだろう。



 現実的な外交を展開するのは結構だ。ミサイルを発射するなど相変わらず不穏な北朝鮮相手に日韓両国が緊密な連携を図るのは必要なことだ。当面は外交面の摩擦を避けつつ、経済対策に集中したいのかもしれない。



 問題は、「できないことがある」のに選挙戦で「できる」と言ってしまったことにある。



 「ウソつき」は民主党が政権交代を果たした平成21年衆院選のマニフェスト(政権公約)の代名詞として定着した。安倍氏は街頭演説などで民主党をやり玉に挙げ、「自民党はできることしか書いていない」と何度も訴えた。



 厳密に言うと、自民党は政権公約では竹島に直接触れていない。政権公約とは別に衆院選で示した「総合政策集」の中に、こう書いてある。



 「政府主催で、2月11日の建国記念の日、そして2月22日を『竹島の日』、4月28日を『主権回復の日』として祝う式典を開催します」



 「検討する」などの余計な表現は一切ない。完全な断言調だ。ただ、式典を実施する具体的な年は書いていない。衆院任期の4年以内に実現するということなのかもしれない。



 しかし、政権がいつまで存続するかは分からない。やれることは早めにやっておかないと、「やろうと思う前に辞めたから実現できなかった」との言い訳になってしまう。それが前回の安倍政権の教訓だったのではないか。



 韓国の大統領選が今年12月に行われることは以前から決まっていた。大統領就任式典は李明博大統領のときも2008年2月25日だった。衆院解散・総選挙の時期こそ不透明だったが、おおよその日程は描けたはずだ。



 しかも、政府主催の式典開催を明記した総合政策集は、解散直後の11月21日に公表された。都合が悪い、あるいはすぐには実現できないと思ったならば、削除するなり記述を丸めるなりすれば良かったはずだ。書いた以上は断固実現を追求すべきなのである。



 政権を預かると前言を翻す-。民主党政権をそう批判してきたのは野党・自民党だった。いったいどこが違うのか、と批判されても仕方あるまい。



 自民党は野党時代、韓国の元首として初めてとなる李大統領の竹島不法上陸を許した民主党政権を攻め続けた。だが、そもそも自民党がかつて竹島問題で本腰を入れて対応していたわけでもない。



 島根県議会は平成17年、明治38年に県知事が所属所管を明らかにする告示を行った2月22日を「竹島の日」と定め、県は18年以降、この日に記念式典を開催してきた。



 当時は自民党政権だったが、首相や閣僚が県主催の式典に出席したことは一度もない。党からは毎年、組織運動本部長らが出席しているが、今年に至るまで三役級は出たことがない。



 「相手の事情も考慮しなければならない」などというもっともらしい理由で懸案の解決を先送りし続けてきたのが竹島問題だった。まさか不法に占拠されている竹島について「法的根拠なく支配されている」との詭弁は弄さないだろうが、総合政策集に「島を守るための公務員の常駐」と明記した沖縄・尖閣諸島問題の対応も、中国への配慮でやめてしまうのだろうか。



 要するに自民党は野党時代に「やりすぎた」のである。相手への批判が自らに降りかかってくる民主党お得意のブーメラン現象が自民党政権にも降りかかってくるのではないか。そんな疑念さえ抱かせる。



 懸念はこれだけではない。民主党政権は決断をずるずると先送りし、内部抗争を繰り広げた揚げ句に信頼を失って衆院選で惨敗した。その芽は自民党にもある。



 自民党は衆院選で294議席を獲得する圧勝だった。特に民主党の金城湯池と言われた北海道では全12選挙区中、公明党の1議席とあわせて完勝だった。北海道は国内最大の農業地域だ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加には反対の声が根強い。



 自民党はTPPに関し、総合政策集ではなく政権公約本体に「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」と明記した。最終的な対応は不透明だが、政権公約では「日米同盟の強化」とも盛り込んでおり、安倍政権がTPP交渉参加に踏み切る可能性はある。



 そのとき北海道選出の議員は猛反発するだろう。ある議員は「TPP交渉参加は絶対に認めない」と鼻息が荒い。大勝ゆえの悩みかもしれないが、政府側は彼らを説得する手立てがあるのだろうか。



 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設も同様の問題を抱える。沖縄県では今までゼロだった自民党衆院議員が一気に4人に増えた。安倍政権は県内移設を推進する方針だが、沖縄選出議員は「県外移設」を主張しているという。



 294人の大所帯を一つにまとめるのは容易ではない。だが、いま自民党に問われているのは「議論が百出しても組織として決めたことには従う」という常識だ。「大人の政党」になるためにも、「できること」と約束したことは実現しなければならない。竹島の一件は、安倍氏が来夏の参院選後に本格化させるであろう憲法改正実現の試金石にもなりそうだ。







いすけ屋



 昨日も一作日も、安倍さんの対局発言に文句を言ったら、どうやら左翼の保守分断プロパガンダらしい。そうかもしれないが、これまで自民党政権には対韓国、対中国政策で、イライラさせれてきた手前、もうじっとしていられないのがホントのところだ。



 安倍さんには前回失望した件もある。靖国も河野談話も周りが引き止めたに違いない。6年前は自民党内にはまだチャイニーズ・スクールやハニー・トラップに引っ掛かった大物政治家が掃いて捨てるほどいたから。それに安倍さん自身、小泉さんに引き上げてもらった身分だったから、思い通りにできなかっただろうとは思う。



 しかし、今回は堂々と総裁選挙を勝ち上がってきたんだし、自民党大勝の最大の功労者でもあるから、思い通りやれる身分、環境である。しつこいようだが、ここで仮に首脳会談が出来たとしても、常に政府主催の竹島記念式典を韓国に譲歩してやらなかったという負い目を背負うことになる。ことごとく対韓外交を丸く収めようとすれば、それは譲歩しかない。



 対中国でもそうだ、尖閣は国際法的にも日本領土なのだから、一寸たりとも譲る理由はない。これを譲歩するから、シナの人はまだ芽があると思い、無駄な干渉を延々と続けてくる。別に参議院選挙までに、船着き場を造れとか、海上保安官を常駐させろとか言っているのではない。「任期中に実行します」でいいのだ。



 どうせタカ派政治家と思われているんだから、中国、韓国にも期待に背いては失礼だ。そのように思わせておけば、そのように対応してくるものだ。安倍さんには見つからないが、なよなよしていたら、必ず舐められる。国を代表する政治家は常に冷静沈着で、冷血でなければならない。外交に温情は、特に中韓にはタブーである。



 ここで素人が吠える前に、安倍さんとしては十分自覚しておられると思うのだが、とにかくうまく取り仕切ってもらいたい。経済政策については全く賛成する。ときどき、「量的緩和を拡大しても、デフレ脱却はできない」 「金融政策をすると、ハイパーインフレーションになる」などと批判する向きもあるが、犬の遠吠えより悲しく響く。



 たとえば郵政民営化でこけた大前研一は懲りずに「アベノミクス」をこのように批判している。



< 最大の問題は、政権に返り咲いた自民党の安倍晋三総裁(およびそのアドバイザーたち)が、日本経済の現状を理解していないことである。安倍総裁は大胆な金融緩和やインフレターゲットなどによってデフレ脱却を目指す財政金融政策「アベノミクス」を掲げているが、それは金利の上げ下げとマネーサプライの増減が経済活動に影響を与えるとする20世紀のマクロ経済学が、まだ通用すると思っているということだ。



 しかし、その認識は間違っている。すでに日本は1999年からゼロ金利政策が(短期間解除されたことはあったが)続いており、市場にはお金があふれている。だが、誰も借りないし、誰も使わない。これからさらなる金融緩和を行なって無制限に資金を供給したとしても、個人にも企業にもニーズがないから、実体経済には吸収されないのである。>



 「個人にも企業にもニーズがない」から、大規模な国土強靭化公共事業で実体経済に血液であるお金をまわすのだ。これrまでは金融と財政が別々に動いていたから、せっかくの金融緩和も、確かに実体経済に浸透しなかった。片や金融緩和でも片や緊縮財政では、お金は雲の上(金融業)を回るだけだった。金融を生業とする人の半分は儲け、半分は同額を損する。市場主義は金融の世界でも格差を生じ、世界中が格差社会となってしまった。



 いい加減、この新古典派経済主義(市場原理主義)から、目覚めないと、世界中が一部の富裕層と大半の貧困層に分かれてしまう。安倍さんの経済政策を批判する経済人はすべて市場原理主義者であり、20年も続いた失敗に気づかず、反省もしていない連中だ。大前研一は「日本維新の会」の経済背策のブレーンであり、竹中平蔵とともに、経済音痴の橋下さんを取り込んだ。



 したがって、維新の会も自民党とはその経済政策で合わない。公明党とは根本的に合わない。もう、自民党は昔のように、衆参単独過半数を確保するしかない。安倍さんには、経済政策で成功してもらって、参議院選後には公明党と縁を切ってもらいたい。