安全の証明ほとんどできない…敦賀原発で班目氏
   
(2012年4月26日19時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120426-OYT1T00874.htm?from=top


 日本原子力発電敦賀発電所(福井県)の原子炉建屋直下に活断層がある可能性が出てきた問題で、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は26日、原電が安全性を証明できなければ、再稼働は不可能になるとの見通しを示した。


 班目委員長は臨時会議後の記者会見で、国の基準では活断層上に原子炉を設置することは想定されていないと指摘。「原電が安全性を証明しない限り、運転できないと解釈すべきだ」と述べたうえで、「安全性の証明は実際には難しい。そんなところに作れば傾くわけで、安全の証明はほとんどできない」と語った。





いすけ屋


 原電さんも、土木・地質の専門家でもない班目さんだけには、言われたくないだろう。いまや、やいのやいので既設原発の「あらさがし」ばっかりだ。それ自体は結構な事であるが、無理やりこじつけるケースが多い。


 今回の判断は、断層が破壊した破砕部分が固まっていないなど「新しい時代の活動」を示す特徴が指摘されたからであるが、整理しておくと、活断層 とは「極めて近き時代まで地殻運動を繰り返した断層であり、今後もなお活動するべき可能性のある断層」を特に活断層という。


 別の定義によれば、「現在の応力場の下で地震を起こし得る断層のうちで、断層面が地表まで達しているもの(地表断層)に限る。今回この地表露出部分が映像で見られたが、破砕部分が固まっていないのは、固まっていないのではなく、露出しているため風化によって崩れている可能性の方が高い。従って内部の精密調査が必要だ。


 そこで実際の活断層の調査は、空中写真の判読、地形分類図の作成、現地での測量や地形観察、地表踏査、トレンチ調査、弾性波探査、ボーリング調査、広域テフラの同定(鍵層)や放射年代測定(特に放射性炭素年代測定)などの方法によって行われる。調査の結果判明した活動時期及び変位量を基に、平均変位速度、地震の発生間隔、活動度(AA級からC級まで)の評価を行う。


 これまでは地表踏査で指摘されているだけで、まだ本来の調査はやっていない。詳細調査の結果、明らかに活断層であると認定されれば、法規によってこの原発はまちがいなく「廃止」である。しかし、今回も活断層でないと判定されれば、敦賀原発を止めるのは別の要因になる。


 また、敦賀原発の敷地内には約160本の破砕帯があるという報道があるが、破砕帯が怖いのはトンネル工事である。断層は岩盤が割れてずれ動くものであるから、断層面周辺の岩盤は大きな力で破砕され、岩石の破片の間に隙間の多い状態となっている。これが破砕帯で、砕かれた岩石破片の隙間に大量の水を含み、また地下水の通り道となっている。従って破砕帯が直ちに基礎岩盤として不都合と言う事ではない


 班目さんの言いようだと、すでに活断層であると決定したような発言だが、そうではない。上記の調査をやらないと、活断層であるとは言えない。活断層である事が判れば、「安全の証明はほとんど出来ない」ではなくて、する必要もないということである。


 なぜ、いまだに班目さんが原子力安全委員会の委員長でいるのか、そっちの方が疑問である。