【主張】原発と橋下市長 電力確保の責任どうした
    
2012.4.20 03:17
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120420/plc12042003190005-n1.htm


 大阪市の橋下徹市長には、この夏予想される関西圏の電力不足の解消に課された責任を果たす覚悟があるのだろうか。


 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に関する、さまざまな言動を見聞きしての印象だ。橋下氏は、野田佳彦政権の再稼働方針を激しく批判し、「倒閣をめざす」とさえ公言している。


 しかし大阪市長として、まず果たさねばならないのは市民や市内にある企業、工場などに電力不足という不安を与えないよう努力することではないか。


 関西圏における今夏の電力需給は厳しい綱渡りが避けられない。政府は原発再稼働なしに一昨年のような猛暑に見舞われた場合、約18%の電力が不足するとみている。橋下氏は「産業に影響を及ぼしてはいけないのは当然だが、生活の利便性は、ある程度我慢してもいいんじゃないか」とし、夏場の冷房抑制などを説くが、産業界では不安が尽きない。


 関西経済連合会の松下正幸副会長は「昨年並みの節電でも困る」とくぎをさす。下妻博住友金属工業会長も「可能な限り早い時点での再稼働が必要」と指摘する。


 こうした悲鳴のような声に、橋下氏はどう応えるのか。


 橋下氏らは、大飯原発の再稼働に関して、8項目からなる「提言」も出している。原発から100キロ圏内にある府県との安全協定締結や、使用済み核燃料の最終処理体制の確立など、国や関電に高いハードルを課す内容だ。


 橋下氏は週明けにも、松井一郎大阪府知事とともに政府に説明するという。個々の項目についての判断は難しいが、これが条件にされるなら、再稼働は、かなり遠のいてしまうだろう。


 そもそも、関電管内は他の電力会社に比べ、原発利用比率が約50%と高い。安全確保を条件に、原発を稼働させながら将来の最適な電源構成を考えてゆくやり方が、現実的ではなかろうか。


 橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」は国政進出を目標に、次の衆院選で候補を立てる。その場合、原発再稼働の問題も争点の一つに加えると宣言している。


 今回の提言が、そうした政治的パフォーマンスの一環だとすれば、やはり問題だ。橋下氏は「大阪再生」を約束した。そのためにも、エネルギーの安定供給と確保に責任を果たしてほしい。





いすけ屋


 橋下市長の言動は何を取っても小気味いい。ついついつられてしまうが、彼の「原発再稼働反対」発言だけは同意できない。新聞テレビは責任がないから、反原発再稼働を叫んで、いい子ぶってればよいが、統治者はそうもいくまい。経済活動の厳然たる事実が差し迫っているのだから。現実を無視して、「おままごとごっこ」の仲間入りした橋下市長は、やはり「次代のリーダー」ではなかった。器が小さい。


 電力に関し、去年の夏は乗り切れたかもしれないが、今年は関電の場合、昨年の50%程度に発電能力が落ちる。この現実を承知しないで、大阪府市統合本部エネルギー戦略会議の今夏の電力需給見通しを信じての発言にしても、バカ丸出しだ。その需給見通しはこうだ。「原発を再稼働しない場合でも、昨年並みの節電対策や火力・揚水発電の活用、他の電力会社からの電力融通などで賄える」。こんな見通しなら誰でも作れる。初めから「賄える」ありきだもの。こんなヤワな見通しで、リーダーと言えるか?



 この「主張」にもあるように、<大阪市長として、まず果たさねばならないのは市民や市内にある企業、工場などに電力不足という不安を与えないよう努力することではないか>。それにもかかわらず、事業主からは電力不足不安の声がいっぱい出ている。市長として、どう応えるのか。法人住民税を払う事業者はインフラサービスをうけるから税を納めている。電気も満足に使えないようでは、税を納める値打ちもない。


 橋下市長は、産業能率大がこの春就職した新入社員466人に対して行った「理想の男性上司」アンケートで1位になった。橋下市長は32票を獲得し、昨年の29位から一気にトップに躍り出たという。2位は池上彰、3位はイチローである。そこまではいい。まあ、分からぬでもないが、新職員に「みなさんは国民に対して命令をする立場に立つんです」 「人が人に命令を出すなんていうのは唯一、公権力を待った者、みなさんしかできないんですよ」と訓示した。権力こそ正義といわんばかりの姿勢は独裁者そのものである。


 いまの若者は10年前と全然違い、自分から “飲み会をやろう”と言えず、誰かについて行こうとする。他人にりードされないと何もできない。強いリーダーシップを感じさせる橋下氏に憧れるのだろうが、誰もが将来に希望が持てない、第1次大戦後のドイツで若者がヒトラーに熱狂した状況に酷似していると言われている。いわゆる「ハシズム」だが、現実には、ヒトラーの事はあまり知らないようだ。ヒトラーも正義を振りかざしながら、結果的に悪事に走ったが、時すでに遅しだった。ドイツ国民は後から、騙されたと知った。


 私は、橋下市長を否定するものではないが、「反原発再稼働」だけは幼稚なセンチメントに過ぎず、公人としては認められない。もっとリアリズムを身につけてほしい。