いすけ屋


 先日、南海トラフで発生しうる最大クラスの津波高や震度分布が発表されたが、これがその内容である。発生しうる最大クラスであるので、もうこれ以上の規模は考えられないということである。ただし確率的にはゼロに等しい。


 03年に中央防災会議が三連動地震(東海、東南海、南海)を想定しているが、さらにこれらが連動ではなく同時に発生し、強震断層域の面積を2倍にした場合の単なる計算結果である。 


 東日本弾震災では、地震学者にとって「想定外」の津波がやってきた。この事実は彼らのプライドを相当傷つけたにちがいない。そこで今回は考えられる最大の地震を無理やり考えたのだ。


 これだけのものを出しておけば、もはや「想定外」の非難は学界には及ばない。東日本地震でも2009年に大地震を予測した学者が居たようだが、個人が大地震の予測を発表し、仮に外れても誰も文句は言わないし、当たれば褒め讃えられるだけであり、責任は伴わない。


 しかし、今回のようにちゃんとした内閣府の組織から発表されれば、それなりの重みがある。そしてこれを基準にして「防災施設」を整備すれば、確かに万全だろう。万全には違いないが、費用対効果の面では、かなり問題がある。従って防災事業においても、災害によって死者が発生すると想定されるところでは、確率100分の1(100年に1回起きる程度)、そうでないところでは10分の1(10年に1回起きる程度)という風に使い分けている。


 ところが、この地震規模は確率で生起年が表わされるような代物ではない。無理に計算するなら30億年に1回だろうか。そんな現実離れした基準?でも、投資すべきだろうか。


 この発表を聞いて、もろに信じ込んだあなた。それでも貴方は原発の安全性は分からないが信じられない。ちょっとした有名人が再稼働に反対しているから、多分、再稼働しちゃぁ危険なんだろうと思いこんでいる。ただ福島第一は40年前のGEM製。後は日本の東芝、日立の製品で機械的にも光学的にも安全性は格段と違う。アメちゃん製は福島だけだ。


 東日本大震災で日本人は、ナイーブになっている。戦後自虐史観に陥ったように、何事に対しても弱気だ。低線量被曝にしても、桁の違うレベルのところで、データのないデマゴーグに簡単に騙され、放射能恐怖症は重症だ。もちろん元凶は政府だが、今頃、避難区域の解除はないだろう。除染も無意味だ。最初から「年間100mSv以下は無害であり、帰って長生きします。」と説明し、こ野基準に基づいておれば、無理やり避難することもなかった。少なくとも自己責任において自由でもよかったのだ。


 チェルノブイリと日本とでは年間降雨量が違う。地形も違う。ほっとけばチェルノブイリの3分の1でセシウムなんか無くなってしまう。解除されても、泊まれないなんて、いったい誰が指示したのか。政府内には責任をとる勇気のあるリーダーがいないから、こんな事になる。


 とんでもない地震予測を今度は政府の手でやっておき、その為の莫大な予算はどうするのか。予測だけしておいて、アリバイ作りはすんだと思ったら大間違いだ。この予測をどのように使うのかも説明しないでは、引っかかった自治体はどうしていいかわからない。それなりの予算要求にこたえるのであれば文句はないが、相変わらずの超緊縮予算なら、何のためにだした地震予測かということになる。


 以下に「南海トラフ巨大地震(M9)想定の全貌」を示す。




南海トラフ巨大地震「M9」想定の全貌
   
2012/04/13
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20120411/564770/


南海トラフの巨大地震モデル検討会(座長:阿部勝征東京大学名誉教授)は、南海トラフで発生しうる最大クラスの巨大な地震規模を想定し、3月31日にその震度分布と津波高を報告した。2003年に中央防災会議が想定した東海・東南海・南海の三連動地震と比較して、変わった点やその影響度について詳しく説明する。


 東日本大震災から1年がたち、西日本でも最大クラスの地震に基づく震度分布と津波高の推計結果が示された。想定地震の規模はマグニチュード(M)9と、東日本大震災の地震規模と同等だ。ここで想定した津波は、発生頻度が極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波、いわゆる「レベル2津波」に相当するものだ。


 モデル検討会の報告は、南海トラフで次に起こる地震や津波を予測したものでも、何年間に何パーセントという発生確率を念頭に置いた想定でもない。以前から公表されている想定東海地震88%、東南海地震70%程度、南海地震60%程度という30年間での地震発生確率は、あくまでもM8クラスのもので、モデル検討会で示すM9クラスは対象にならないので注意が必要だ。


 モデル検討会には地震や津波の研究者を結集して、阪神大震災以降の研究成果や東日本大震災の知見を踏まえて検討した。


 あらゆる可能性を考慮した結果、地震を引き起こす震源域を表す強震断層域の面積は、03年に中央防災会議が想定した三連動地震と比較して約2倍に拡大している。


南海トラフの巨大地震の新たな想定震源断層域


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北や南や西に震源断層域が拡大   


 強震断層域の拡大箇所の一つが、内陸側の深部低周波地震の領域だ。プレート境界の深部は高温で軟らかいので、プレート間にひずみがたまらないと考えられていた。しかし、低周波地震が観測されることは、ある程度の固着があることを示す。研究成果などによると、浅部の固着層30kmよりも深い部分に緩く固着している遷移層がある。


 「遷移層単独で大きな地震は起こらないが、プレート境界のより浅い部分で大きな地震が起こった場合は遷移層までつられる可能性がある」と、モデル検討会の委員である東京大学地震研究所の古村孝志教授は話す。


 さらに、西端の強震断層域が日向灘付近まで広がった。海底の超音波探査などによって、九州・パラオ海嶺付近まで一続きのプレートであることが分かったからだ。近年、日向灘では単独でM7クラスの地震が起こっていたが、三連動地震でそこまで断層域が広がる可能性がある。


 これらを踏まえ、新想定の強震断層域の面積は6.1万km2から11万km2へと拡大した。東日本大震災の約10万km2に匹敵する巨大断層域だ。


 津波を引き起こす断層のすべり範囲を表す津波断層域は、11万km2にさらに南海トラフ寄りの領域が加わり、約14万km2に拡大した。東日本大震災では、プレート境界の深部がすべると同時に、より海溝側の浅部もすべって、高い津波をもたらしたとされている。その知見を踏まえた。


震度7が発生する面積は20倍以上に   


 10万km2を超えるこれらの巨大断層域がすべって一定の応力度が開放されると仮定した結果が、M9クラスの地震規模だというわけだ。ただ、現実には強震動を起こす地震波や津波を引き起こす断層のすべりは、断層域に一様には発生しない。


 そこで地震については、強震動を起こす特定の領域の配置を変えて4通りのパターンを検討。強震波形を計算し、250mメッシュで震度を推計した。各パターンで発生しうる各地の最大震度を重ね合わせたものが下の最大クラスの震度分布図だ。この最大クラスの震度分布図どおりの地震が一斉に起こるわけではなく、あくまでも各地で起こりうる最大震度を色付けしたものだ。


最大クラスの震度分布図



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 03年の中央防災会議の想定図と比較すると、震度7に該当する面積は20倍以上の0.7万km2に、震度6強以上の面積は5.6倍の約2.8万km2になる。三重県や和歌山県の沿岸部、南四国で特に大きな震度に上がる想定だ。


津波高は2倍、3倍に   


 一方、津波は特定の領域が大きくすべる「大すべり域」と「超大すべり域」の配置を変えて11通りのパターンを検討。例えば、大すべり域を駿河湾~紀伊半島沖や四国沖~九州沖、室戸岬沖と日向灘などに設定した。50mメッシュで津波高を推計し、各パターンで発生しうる各地の最大津波高を重ね合わせたものが下の最大クラスの津波高分布図だ。地震同様に、分布図どおりの津波が一斉に起こることはない。


最大クラスの津波高分布図


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 沿岸部では津波高が従来の2倍や3倍に増大する。特に大きな影響を受けるのは宮崎県や鹿児島県だ。三連動地震に備えて対策を進めてきた太平洋沿岸の他県と比較して、津波をそれほど心配しなくてよかった県だけに、今後、早急な対策が求められる。


 一方、津波高が従来とそれほど変わらない地域もある。瀬戸内海や東京湾、大阪湾などだ。津波高の巨大化は、トラフ寄りのプレート境界の浅い部分でのすべりに起因する。そこで発生する津波は、短波長の成分が強いので、周期の長い湾などでは波長が減衰してそれほど影響がないというわけだ。


 ただし、内陸側のプレート境界の深い部分が地震とともに沈降するので、その分、標高が下がり、津波高が多少は高くなる。


短時間差での地震も要注意  


 モデル検討会が報告した新たな想定によって、今までの想定がリセットされるわけではない。03年の中央防災会議による想定は今も生きている。


 「03年の想定は頻度が高く、起こる可能性も高い。一番に備えるべき地震・津波の想定だ」と、東京大学の古村教授は強調する。


 モデル検討会は、より精密な10mメッシュでの津波高の推計や津波による浸水域の特定、時間差で発生する地震、長周期地震動などについて引き続き検討を進めている。また6月ごろまでには建物被害や人的被害を、秋ごろまでには経済被害などについて推計する方針だ。


 短時間の差で地震が発生した場合は、局地的に新想定の最大津波高を超える可能性がある。例えば、東海地震が発生して、5分後や10分後に東南海・南海地震が発生する場合は、津波が重なり合うポイントが出てくるからだ。