東電10%値上げ打診、他電力会社に波及も

(2011年8月28日10時27分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110828-OYT1T00254.htm?from=main2


 東京電力が、電気料金の10%以上の値上げを政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」に打診したのは、停止した原子力発電を補うためにフル稼働した火力発電の燃料費負担が重く、その他の経費削減だけでは吸収しきれないと判断したためだ。


 他の電力会社も、同様に原発停止に伴う燃料費の増加に苦しんでおり、東電にならって一斉に値上げに動く可能性がある。


 東電を除く電力9社の2011年4~6月期決算は、原子力発電所の稼働停止が相次いだ影響などで、税引き後利益は4社が赤字、2社も減益となった。


 原発停止の影響は、電力需要が伸びる7~9月期には一段と深刻化する見込みだ。中国電力は9月中間期の連結税引き後利益で3年ぶりの赤字を見込む。九州電力も中間期の経常利益を、400億円前後の赤字と予想している。各社とも、経営悪化に少しでも歯止めをかけるため、電気料金の引き上げを検討せざるを得ない状況だ。


 電力会社は、今回のように火力発電の割合が高まるなど、費用構造が変わった場合などに抜本的な料金改定を行うためには、経済産業大臣に申請し、認可を受ける必要がある。


 東電の場合、経営・財務調査委が同社の高コスト構造の見直しなど総合的なリストラ策を提言することになっているため、東電としては同委から値上げに理解が得られれば、政府への値上げ申請の環境が整うと見て、同委に値上げを打診したとみられる。




いすけ屋


 別にこの値上げと「再生エネルギー措置法案」通過とは関係ないだろうが、結局こういうことである。つまり、電力会社は「燃料費が高くなったから値上させてくれ。原子炉は燃やせないんだから、いいだろ?」 電力会社の反撃が始まったのだ。


 電力会社は、政府の言い値で電気を買わされる事になったからには、なんだかんだ屁理屈付けて、このように値上げを申請してくるだろう。当然の権利のように。ただ、現在「超円高」で、輸入品有利の筈なんだけど・・・。そんなにLPGは高くなったのか?という疑問もある。


 しかし、ある意味仕方がない。東電以外でも、一番コストのかからない原発の耐震耐津波見直し工事に数百億円使わされ、挙句の果て、原発を止められた。普通の国の民間会社なら政府を訴えるだろう。ところが我が国の電力事業の認可権は政府にある。とにかく、「権」を持つ者は強いのだ。


 明日にも決まる次期政権は、「再生エネルギー措置法案」を早急に改正する必要がある。一般家庭の買い取りは固定で良いが、少なくとも発電会社からの買い取りは、自由契約とする。これぐらい変えないと、前回紹介した田尾和俊教授が仰るように、<「お上が定価を決めるビジネスは、介護保険と同じで必ず歪むと思います(税金投入で歪み、労働条件で歪み、競合の民間ビジネスを歪め、ひいては自由経済自体を歪める)。」>


 要するに「再生エネルギー措置法案」は、「脱原発」に雲隠れさせた弱者いじめの増税と同じである。自然エネルギー変換を育成するなら、国会議員はやたら外国の真似をせずに、日本独自の方法を考えろ。ただその前に、エネルギー基本法、原子力基本法を見直し、原発はもう要らないなどといった「お子ちゃまランチ」的な情緒論から、早く脱皮すべきである。