いすけ屋


 今や「脱原発」と言えば、国民の70%が賛成しているという。脱原発の綺麗なところだけとって、後は他人任せと言うのが、大半だろう。韓国の反日教育の実態を知らずに「韓流ドラマ」に走るおばちゃん達と、この脱原発派とは相通じるものがある。要するに「何も考えていない」ということだ。もっとも西尾幹二先生も脱原発派に転向されたので、逆に「考え過ぎ」かも知れない。


 さすが産経新聞は目ざとく、この問題に気付いたようだ。今日より、「脱原発を問う」シリーズが始まった。副題は「菅流の虚構」である。これは韓流にもかけているのかナ。もともと思いつき発言、延命発言なのに、これを機に根強い反原発派とくにマスコミはここぞとばかりに、脱原発のながれを作った。そんな筈じゃなかった菅さんもびっくり。とにかく、翌日「個人の考え」とトーンダウンさせたが、すでに遅しだろう。


 今度は「やらせ」問題だ。別に電力会社を擁護するつもりもないが、シンポジウムには目的がある。それに沿うよう演出するのは、従来からどのような集まりでもあたりまえのことである。例えば「9条の会」が催す会に、憲法改正派を呼ぶか?株主総会では「異議なし!」と叫ぶ人員(さくら)を用意する。テレビ局がスタジオに一般人を入れて、ADが合図して拍手させる。これも一種のやらせではないか。街頭インタビューなんて「生」では絶対やらない。必ず編集してある。それを、「やらせ」の元祖であるメディアがしつこく報道しているから、ちゃんちゃらおかしいのである。


 脱原発は、それを支持する人たちが考える程、簡単ではない。現実に今回、脱原発に踏み切ったのはドイツとイタリアだけであった。両国とも隣国フランスから電力を購入できるから、節電、停電の心配はない。10年前にドイツは脱原発に向かったが、電気料金が上がり過ぎて失敗した。発送電分離して自由化したって、電気料金は安くならない。ここに競争原理を当てはめようとしたって、当てはまらない。必ず大資本が支配するようになるからだ。ドイツは、たまたま選挙で逆転したから元に戻っただけである。いずれ、原発容認に戻る事は間違いない。


 再生エネルギー法案のように固定価格で買い取る案と自由化で安くなるというのは矛盾した話である。エネルギーと軍隊は民営化してはいけないのだ。国鉄や道路公団、郵便局とは訳が違う。むしろ、原発は国有化して責任の所在を国に一元化することで、テロや外敵からも安全性は守られるのだ。


 せっかくの産経新聞のシリーズだから、ここに転載させていただく。   



【脱原発を問う 菅流の虚構】
  
(1)エネルギーない国は滅ぶ 「突然の停電」消えぬ危機感   
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110731/trd11073101120002-n1.htm


 水色の作業着が噴き出す汗で肌に張り付く。群馬県伊勢崎市にある自動車の排気系統部品を製造する2次下請け工場。外は真夏の日差しが照りつけ、10台の扇風機をフルに回しても、室温は時に40度を超える。


 「やっといい方向へ向かってきた気がする。計画停電は二度と嫌。今夏はどうなるのか」。製造部門チーフの清水直樹さん(33)はため息をついた。夏を迎え、電力不足の報道を目にするたび、悪夢が清水さんの頭をよぎる。


電力不足で倒産  


 東日本大震災で同市は震度5弱を記録した。清水さんの会社は社員も機械も無事だったが、東北の部品メーカーが被災し、発注元の生産ラインが止まった。製品は行き場を失い、経営の土台が揺らぐ。そこに、東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う電力不足と計画停電。これがとどめを刺す格好になった。


 清水さんは、工場で働く34人のシフトを変更し、人件費を抑えるため停電予定時刻に社員を一時帰宅させた。停電は3月15日から10日間で都合7回。うち6回は午前8時から午後5時の工場稼働時間内だ。1日2回停電し、生産量が9万個から半減した日もあった。


 社長が「これ以上続けたら、皆に迷惑がかかる」と社員に倒産を告げたのは、社員に自宅待機を命じて5日後の31日だった。関係先への電話対応に追われることになった清水さんは「被害がなかったので、原発事故の影響はないと思っていた。まさか会社がつぶれるなんて」と思ったという。

 その後、取引先の支援で工場は再稼働にこぎ着けた。8人が辞め、シフト態勢は厳しくなった。正式な事業譲渡先を模索しながらの操業だが、再び計画停電があれば生産量の維持は困難だ。「工場はもともと土日も稼働している。早朝や深夜は騒音規制があるので時間をずらせない。節電といっても空調設備はないし、照明を消すのが精いっぱい」。抜本的な対策は見いだせていない。


 政府と東京電力は「社会的影響が大きい」として、一部大規模病院を計画停電の対象外にしている。


 しかし、都の調査では都内の病院(入院ベッド20床以上)の約2割が自家発電装置を備えておらず、小規模な診療所はさらに少ないとみられる。停電すれば電子カルテや検査装置、人工透析などの機器は使えない。


懐中電灯で診察   


 東京都国立市にある新田クリニックの新田国夫院長(66)は3月、計画停電の最中に70代の夫婦宅へ訪問診療に向かった。


 夕方、すでに暗くなった部屋でベッドの2人を診察する。頼りは持ってきた懐中電灯の明かりだ。肺炎の妻には点滴による処置を施したものの、夫は手術が必要な急性胆嚢(たんのう)炎の疑いがある。X線検査などでの診断は、自家発電装置のないクリニックには無理だ。「症状から緊急手術が必要と判断し、停電していない病院に搬送した」(新田院長)


 消化器科などの外来を受け付ける新田クリニックに入院設備はないが、訪問診療の患者は約70人を抱える。電動の酸素供給装置、たんの吸引器を使う難病患者もおり、停電で機器が使えないと命を落としかねない。クリニックでは3月時点で計画停電前に手動式や充電式の機器をそろえ、患者や家族に配布している。

 だが、夏は「暑さ」が加わる。空調が使えないと、高齢者が熱中症になる恐れがある。東電によると、3月の計画停電は3時間程度だったが、今夏に実施する場合は2時間程度になる見込み。


 同クリニックの村松伸晃事務長(39)は「高齢患者の体力を考えると、停電は1時間ぐらいの短時間にしてほしい」。村松事務長の訴えは切実だ。


来夏も影響続く   


 「今度はいきなり?」。7月20日夕、東京都荒川区の都営団地7階に住む無職、渡来(わたらい)敏雄さん(72)方の電気が突然、消えた。エレベーターは8階で止まったまま。台風6号接近による停電だったが、渡来さんは震災後の計画停電を思いだした。

 同団地は3月に東京23区内で停電が実施された数少ない地区の一つ。「食事時間はずらしたが、余震が続く中で情報が遮断され、不安だった。節電には協力するが、停電はもう…」と渡来さんはいう。


 同じ地区の特別養護老人ホーム「さくら館」では当時、昼食時にエレベーターが止まり、職員がバケツリレー方式で5階まで食事を運んだ。入所者80人の平均年齢は89歳。武井謙二施設長(57)は「徘徊(はいかい)事故や精神的ケアなど、停電が長時間になれば影響は大きい」と話す。


 同地区の小、中学校では、給食の調理時間短縮のため一部メニューを変更した。下校時と停電は重ならなかったが、「交通信号の停止による混乱を避けるため、授業打ち切りも検討した」(区教委)という。

 荒川区は、停電予定区域の高齢者宅や障害者宅、保育園、小学校など約300世帯・学校に直接、電話で注意を呼びかけた。同区は夏の計画停電対象からはずれているが、区の担当者は「計画停電があっても3月のノウハウを生かせる」という。7月から、各月前年比で20%以上節電した世帯に懐中電灯などの商品を提供している。すでに150人以上が申請し、区民の警戒ぶりがうかがえる。


 それでも「突然の停電だと電話もつながらない。それに範囲が大規模だったら…想定は難しい」(障害者福祉課)と危機感は消えない。


 政府は定期検査終了後も再稼働できないなどで国内の全原発が停止した場合、来夏はピーク時の最大需要に対して9・2%の電力不足になるとの試算を発表した。危機は今年だけでは終わらない。


場当たり的独断  


 日本列島は電力危機の正念場、猛暑の季節を迎えた。震災直後に東電管内で実施された計画停電で打撃を受けた中小企業や医療関係者などは少なくない。原発停止が広がる中、悪夢再来におびえる人は多い。


 そんな現実を知ってか知らずか、菅直人首相は、唐突に「脱原発」を宣言、有効性に疑問符のつく再生エネルギーへの移行に執念を燃やす。政府は29日に原発依存率低下に向けた2050年までの戦略工程を策定する方針を示した。


 ただ、首相は、批判を受けると、「脱原発は個人の思い」とトーンダウンするなど政権延命の思惑も透けて見える。法的根拠なしで中部電力に浜岡原発停止を要請し、九州電力玄海原発再稼働に待ったをかけるなど、場当たり的独断はとどまるところを知らない。


 「エネルギーのない国は滅びる。原発に問題があるのはわかるが、停止するのなら相応の対策を講じるのが筋だ」と大手電機メーカー幹部は警告する。


 「菅流・脱原発」が虚構の中で増幅する危機は現実味を帯び始めている。