橋下知事が決断、槙尾川ダムの建設中止 地元は反発
 
2011.2.15 14:26
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110215/lcl11021514270007-n1.htm


 大阪府が建設の是非を検討している槙尾川ダム(和泉市)について、橋下徹知事は15日、建設の中止を決めた。この日開いた戦略本部会議で府としての方針を確認し、地元住民にも伝えた。16日に再度開く会議で正式決定し、2月定例府議会に、中止に伴う違約金や原状回復費などを計上した補正予算案を提出する予定。国土交通省は「本体着工済みのダムを中止した事例は把握していない」としており、全国的に極めて異例のケースとなる。


 15日の会議は「結果はまず地元住民の皆さんに伝えたい」という橋下知事の意向で、非公開で行われた。


 関係者や公表された文書などによると、知事は、専門家らでつくる府河川整備委員会での議論などをもとに、ダム建設と脱ダムの河川改修による治水効果は「五分五分」との前提で検討。「真に水害に強いまち」をつくる方策を探る過程で「『治水の王道は河川改修』との原点に立ち返り、政治家として悩み抜いた末にダムに頼らない河川改修を選択した」という。


 一方、中止に伴う法的リスクについて、府の顧問弁護士らは水害が発生した際に損害賠償を請求される可能性を指摘していたが、知事は「治水手法の変更は『合理的な政策選択』であり、仮に訴訟が起こされても司法には大所高所からの判断を期待する」としている。


 ダム建設を中止して河川改修に切り替えるには新たな用地買収が必要となり、関係者によると、15日の会議では事業実施に懸念を示す声もあったが、最終的には知事の意向通りの中止でまとまったという。


 知事の方針は同日、府の担当部長らが地元を訪れて住民らに伝えたが、住民の反発は強く、今後、河川改修が円滑に進むかどうかは不透明だ。


いすけ屋


 人気者知事さんは、理系に疎い。民主党も菅さん、鳩山さんは理系だったはずなのに、八ッ場ダム廃止を地元の意見も聞かずに決めてしまった。彼等もほんとの理系ではないのだろう。大阪の橋本さんも、だんだん人気に溺れて上意下達傾向が強くなってきた。何が「維新の会」か知らぬが、大阪を東京と一緒にするようでは、先が見えたようなものだ。実力の差ぐらい、わかっているだろうが、名古屋の河村さんもどうかしている。


 当ブログでは、新規のダム計画は別にして、すでに着手済みのダムを中止させるのは、それまでに使った国庫をドブに捨てるようなものだから、逆に急いで完成させろと主張してきた。ここでも新聞は「治水の王道は河川改修」とか書いて、無知な国民をだまそうとしている。治水に「王道」なんてないのだ。両岸の用地買収が簡単にいくなら、河川改修でもよいだろう。だが、世の中、必ずしも用地買収に応じてくれる人間ばかりでは無い。何でも反対する反公共人間がいるものだ。


 対象人員はダムのような山の中と違い、延長ものであるから、莫大な数になる。その分、反対者にぶつかる可能性は大きく、大学の先生のように、机上でしか物事を考えない人には想像もつかない問題があるのだ。昭和30年代なら、いざ知らず、現在では河川改修をメインにする事は、可能な川が殆ど無くなっている。


 一軒でも立ち退きに応じてくれない関係者がいれば、その計画線形は水の泡となる。その家を避けて計画し直せば、また新たな反対者が出てくる。経済的にも、都市部には必ず道路横断部は橋梁が掛かっているが、これらは全て架け替えなければならない。河川を横断しているのは道路だけではない。上水道、工業用水道、ガス、電気、電話、光ファイバー等、ありとあらゆる生活ラインが横断していて、それぞれ対応しなければならない。


 田んぼの真ん中にある川を改修するようには行かないのが現実であり、私が直接かかわったものでも、JRや近鉄の鉄道橋梁が古く、HWLすれすれに設置されているので、1/30確率計画高水量が、鉄道から上流は一気に1/5確率に落として暫定計画でごまかしている。


 橋本さんは、どのように洗脳されたのかわからないが、おそらく民主党や田中康夫がだまされたのと同じだろう。河川改修しても、最近頻繁に起きる集中豪雨による鉄砲水は防げない。ところがダムの場合、これを緩和するので、効果が天と地ほど違うのだ。大学の先生は、流出解析にはまず「貯留関数法」なる方法を使う。この場合ダムからの流出量は関数化されてしまうので、効果のほどが実体として感じにくいのだ。これを時々刻々、ダムへの流入量、貯水位、ダムからの放流量、貯水位、ダムへの流入量・・・と、原始的な計算法を用いれば、その効果のほどが明確にわかるのである。


 それにしても、専門家で作る府河川整備委員会での検討では、「ダムを造るだけでは必ずしも安心・安全にはならない。蛇行した槙尾川の改善や、護岸整備を優先させた方が、安心・安全につながる」と述べ、ダム中止の意義を主張していた。つまり専門家と称するメンバーがダム反対派の先生達ばかりであったということだ。結論を橋下知事に委ねる様では、何のための委員会やらわからない。知事さんは素人なんだから、得々と説明してあげるのが仕事だろ。この手の御用教授が多いのも、戦後教育の後遺症か。


 槙尾川ダムは、大阪府が事業主体の治水ダム(貯水量140万立方メートル)。総事業費128億円は国と府が折半し、用地買収や付け替え道路建設などで09年度末までに58億円を支出。86年に予備調査に着手し、01年に建設計画を策定した。本体着工直後に橋下知事の指示で工事を中断。府河川整備委員会がダム案・脱ダム案双方について検討を重ねたが、治水効果などを巡って議論がまとまらず、最終決断は橋下知事の判断に委ねられていた


 これで58億円+違約金+原状回復費の半分は国費。つまり我等の税金だ。かってにどぶに捨ててもらっては困る。どうしてもやめるなら、これまでの国庫負担分は返済してもらいたい。そこまで勝手に税金を無駄にされては、かなわない。橋下はん、わかっとるやろな!