首相が安保会議で「見直し了承」 武器輸出三原則
  2010.11.28 01:30
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101128/plc1011280131000-n1.htm


 菅直人首相が、武器輸出を事実上全面禁止している「武器輸出三原則」の見直しを安全保障会議で了承していたことが27日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。政府は12月10日の「防衛計画の大綱」の閣議決定に合わせ、戦闘機などの国際共同開発を可能にする緩和案を公表する方向で最終調整する。国際平和協力活動で派遣された自衛隊の重機などの現地供与も三原則の例外とする。


 菅首相は従来、「基本的考えを変えるつもりはない」と慎重姿勢を崩さなかったが、対米関係や緊迫する東アジア情勢を勘案して、自衛隊装備の高度化に向け大きく踏み込んだ。ただ民主党内には反対意見があり、仙谷由人官房長官らの問責決議可決で政権の求心力が低下する中、党内の意見集約は難航しそうだ。


 政府は11月16日、国防の重要事項を審議する安全保障会議を開き、防衛大綱を協議した。その席で菅首相は、防衛省などが求める三原則見直しを了承。「国会審議に耐えられるものにしてくれ」と指示した。


 これまで三原則で、兵器に転用可能な物品輸出も禁じられており、世界の趨(すう)勢(せい)となった共同開発に参加できなかった。最新鋭戦闘機「F35ライトニング2」のような開発に参加できないままでは、他国に比べて自衛隊の装備の開発が遅れ、日本の防衛産業も最先端技術から取り残される懸念が出ていた。


 政府筋は「共同開発に参加できないとデメリットが大きいことに首相は理解を示している」と指摘。別の政府筋は「国際紛争を助長しないという三原則の理念を維持することが説明できる緩和案なら否定しないという立場に転換した」と説明している。


 菅首相は26日の参院予算委員会で、共同開発に参加できない現状に触れ「武器体系が世界の水準から遅れてしまうこともある」と言及していた。


 民主党外交・安全保障調査会も近く大綱提言案をまとめ、共同開発の対象国について「国際的な武器輸出管理レジームを有力な目安とする」との新基準を設けた上での三原則見直しを打ち出す。


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 武器輸出三原則 昭和42年に佐藤栄作内閣が(1)共産圏(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争の当事国-への輸出を禁じた。51年に三木武夫内閣がこれ以外の国にも「慎む」と事実上の全面禁輸に。その後、米国への武器技術供与、米国とのミサイル防衛の共同開発・生産を例外とした。共同開発の緩和では輸出管理が適正なNATO加盟国や韓国、豪州を対象国とする案などが検討されている。



いすけ屋


 武器輸出三原則の見直しは、従来各方面から言われてきた事だが、本年、民主党の北澤防衛大臣からの申し出で、ようやく菅さんのゴーサインが出たようだ。民主党に先を越されるとはいかがなものか。自民党は深く反省すべし。


 それはさておき、きっかけのひとつは恐らく、「誰も語らなかった防衛産業」桜林美佐(並木書房)の出版だろう。このままだと日本の防衛産業は、世界の技術レベルから取り残されると言う危機感を本書は警告している。


 もちろん、次期主力戦闘機の選定で、共同開発に参加出来ないという「しばり」は、もはや時代遅れであると言うこともはっきりしてきた。F-22が生産中止を理由に断られ、F-35はロッキード社を中心に、イギリスなど8カ国の共同開発のため、導入してもランク下のものしか手に入らないと言うデメリットがある。しかも開発各国の様々な要求を満たす為に重量も超過気味となり、あらゆる部分の再設計や仕様変更によって費用もF-22なみに膨張している。


 最終的には国内自主開発出来るように、共同開発にも参加しておくべきだ。それに、毎年軍事費二ケタ成長のお隣に比べ、日本は年々減額している現状では、末端の下請け企業が持ちこたえられない状況にまで落ち込んでいる。いったん技術の継承が途絶えると、再興するにはとてつもない時間と労力と資金が必要となる。


 そこで、提案。どうせ見直すなら、どこそこは良くて、あそこは駄目、といった部分見直しでなくて、全面解除が望ましい。どうしても法律は文章であるから、解釈次第である。このアナログ的なところは日本のいい所でもあるが、欠点でもある。規制緩和が叫ばれて久しいが、なぜか日本は逆に「縛り」が増えている。


 武器輸出三原則で言うなら、せいぜい、対中国、北朝鮮、ロシアへの輸出を禁止するぐらいでいいのではないか。あとは全て、フリー(全解禁)にして、防衛産業も競争力を付けてもらう。その間、防衛予算は「田母神国軍」田母神俊雄(産経新聞出版)で試算された1兆4千億円程度を増額する。これだけで、自主防衛できる軍隊が出来るそうであるから、防衛産業の存続、技術伝承、共同開発参加、自主防衛軍隊など、一石四鳥以上の効果がある。そして普通の国に近づく事が出来るのである。