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この書籍は、戦後最悪の犯罪者とされる麻原彰晃の娘として生まれたゆえ、95年3月の強制捜査時にメディアに対し何も考えず無邪気に振る舞ったゆえ、アーチャリーの名で全国的な有名人になってしまった松本麗華さん(以下著者)が、その後、就学拒否やバイト先を追われるなどの筆舌に尽くし難い人権侵害を受け続け、2015年にもう逃げも隠れもしないできないと腹をくくり、6人兄弟の中で唯一本名と素顔を晒し、世に問うた渾身の一冊である。
まず、オウム真理教の前身のヨガ道場時代、麻原は帰宅後、順番に娘を抱き上げる子煩悩な父親であり、夫婦喧嘩で母親が家出した際には、娘たちのためにインスタントラーメンを作ろうとして鍋を焦がしてしまうような、平凡な人に過ぎなかったという描写は後の凶悪犯罪者、麻原彰晃のイメージとの落差の大きさに驚かされた。
並行して、2歳の時にインドを訪問した思い出を綴るが、果たして、2歳の時の出来事を覚えていられるものだろうか? と不思議に思った。
それはともかく、山梨の巨峰です。
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要するにダ、被害者や遺族、関係者でなくても、凶悪犯罪を憎む正義感を持つのは人間として当然で、大事な資質であると考える。
しかしながら、著者は教団による一連の凶悪事件に関与していないのであるから、誹謗中傷するのは筋違いというものだ。
むしろ家族くらい「あんなに優しかったお父さんが人殺しなんて信じられない」と思ってやれなくてどうする?
「アノ人なら、いつかなんかやらかすと思ってました」じゃ救いがないじゃないか。
もちろんのこと、著者自らが関与した2つの案件、いわゆる「観念崩壊セミナー」と、逮捕され保護観察処分となった「長男誘拐事件」(「旭村事件」)にも触れている。
「観念崩壊セミナー」は、怪我人を出したと、手短に淡々と綴るのみだが、「長男誘拐事件」の方は、事件は政治的陰謀、当局のでっちあげ、と執筆時点でほぼ15年経っていたであろうに怒りに震える様子が窺える一方で、未熟だった世間知らずだったと反省し、それが高校・大学で勉強したいという意欲になったと美談につなげるのは著者の表現技術の上手さである。
この後、高校・大学の就学拒否や母や長姉や妹、次弟との家族間問題、教団幹部・上祐氏との確執、精神崩壊してしまった父親などの気の滅入るような話が延々と綴られ、読む方も辛いけど、著者はもっと辛かっただろうと思い涙を禁じえなかった。
そんなわけで、これでだいたい1200文字。原稿用紙3枚です。もう涙でキーボードが見えません。
ここで1曲。
クリエーションで「ロンリー・ハート」
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