■2016/03/17(木) 自己啓発本読むのは時間のムダ
戊戌 晴
(或る人でなく勢州云う)
アタシが競馬で払い戻しの安い単複買うのは、十数年前、里中李生というライターが書いた競馬本に『競馬の基本は単複にあり。たとえ複勝1.5倍でも払い戻しがあればそのお金でまた次のレースで勝負ができるんだぞ』という一節を読んで以来である。
だから、里中李生さんはアタシの恩人なのだ。
里中氏、いつのころか競馬から足を洗い(?)自己啓発本を出すようになり、アタシは気が向いた時にそれらの本をブック○フの100円コーナーで買ったり図書館で借りたりしていた。
さいきん借りたのが『成功者はみな、怒りを秘めている』なる書籍である。
『芸能人の不倫に腹を立てる人の気が知れない』
『悲惨な事件事故に対して悲しんだり怒ったりするのは当然の感情だけれども、ナマの感情をSNSに投稿し、2時間もしないうちに外食の写真を投稿するってどうなの?』
『仕事の利害関係を離れ、同一の目的で動いている仲間は大切だ』(以上、要旨。意訳あり)
などなど首肯できる部分もあったけれど、全体から受ける印象は、
この人は十数年前の競馬本時代から変わっていないどころか過激になっている。
この本には『成功者の怒りは他者に対する怒りではなく、ふがいない自分に対する怒りである』とある。
しかし、世で成功者とされる人物の固有名詞はいくつか出るけれど、その成功者がどう、ふがいない自分に腹を立て、どう、成功につなげていったのかの具体例がない。
結局のところ、常に何かに苛立ち、他罰的で自己愛に満ちていて、肉体言語すら肯定するかのような姿勢には辟易するとしか言いようがなかったのである。
まぁ、著者が己を厳しく律しているのは過去の著作から明らかだから「自分に甘く他人に厳しい」という批判は的を射ていないが、他人の考え、行動様式はそれぞれなのだから、直接的に迷惑を被っていないのならば、いったい何にそんなに怒っているのかサッパリ理解不能だった。
結局のところ、自分でなく他人に怒っているのは著者自身である。
そんなワケで、2/3ほど読んだところで放りなげた。
著者は十数年まえの競馬本時代から『南の島に住みたい』と書き、本作でも何度もそう書いていた。
「あなたはアタシと違ってお金もあるでしょうから、早くそうされるコトをお勧めします。そしてあなたはアタシの恩人なのですから御恩は一生忘れません」
(了)