U子が生まれたとき。
いや、生まれたときのことは覚えていない。
覚えているのは、U子に障害があると聞かされた、そのときのことだ。
父親に
「2人とも、ここへ来て、座りなさい」
と呼ばれた。
私は7つだった。
すぐ下の妹・R子は5つ。
2人で神妙な顔をして父親と向かいあって座った。
まずいシチュエーションだと思った。
大人が「そこに座りなさい」と言うときは、大抵、悪さがバレて説教をくらうときまっていた。
父は
「赤ちゃんの、おまえたちの妹のことなんだけどね。
病気をしたんだ」
と話しだした。
びょうき?
赤ちゃん、びょうきなの?
なおった?
「なおったけどね。
障害が残るみたいなんだ。
障害って、わかるかなあ?」
父はとても口下手なひとだ。
下手だから、ゆっくりゆっくり、赤ちゃんの身に起きたことを語った。
ゆっくりゆっくりだから、子供にも理解できた。
だから、語弊があるかもしれないけど
私は率直な感想を父親に申し述べた。
「おもしろそう!」
父親は、私がまだ小さくて理解できないのだと思ったらしい。
7才の言うことだからと。
でも私ははっきりと記憶している。
小学校には養護学級もあり、なんとなくの雰囲気は知っていた。
すごい子が生まれてきた。
とくべつな子だ。
妹は、とくべつな子なんだ。
ワクワクしてきた。
だけど実際いっしょに育ってみれば、べつに特別な子でもすごい子でもなかった。
手のかかる、うるさい妹が一匹増えたに過ぎなかった。