「精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方」樺沢紫苑
書店でたまたま目にして手に取った。
何の前情報もない作家さんだったが、読み進めてみると何冊も本を出していたりスープカレーの火付け役であったり著名な人らしい。
個人的に一人称「樺沢」が無理だった。(初っ端)
ちゃんと精読して、それで著者の人柄を好きになれなかったので、ただ自分に合わなかったんだと思う。書いている意図は読めるのに、章末の著者の体験談を読むたびどんどん嫌いになっていく謎の現象が起きていた。
本のテーマが「人生を楽しむ」だから理想論になりがちで、『そうは言っても実行するのは難しいです』ってコメントがつくの当たり前だと思うんだけど、『こういうこと言うととこういった反論がきます』とか『〜などの痛烈な批判』とか流してまともに取り合わない姿勢に、キャパの狭いオタクの特徴を感じて引いた。
(因みに読後アマゾンのレビューを覗いたら良書!ってコメントが多くて、自分ってめっちゃ捻くれてるんだなあと思った。)
内容について。
表紙買いして目次も見なかった自分が悪いのは百も承知だが、「毎日」っていうもんだから、「朝起きてから眠るまで、一日の楽しみ方」みたいなものを期待していた。
朝ランニングの脳科学的な効果とか、
朝食は食べたことないもの挑戦しようとか、
お風呂に本気で入ろうとか、
2時間あるならこんな遊びをしようとか。
一日(毎日)を能動的に楽しみましょうねってことかと思ってしまっていた。
だけどこの本はアフターファイブに時間を作りだすことが前提で、それができない人は仕事ができないってバッサリ切っている。
なんかそもそもが違くない?
期待したものが書いてない!って文句言っても仕方ないので読み進めるけど、まあとにかく読みづらい。何が言いたいのか、結論がどこなのかものすごく探しづらい。
小泉構文的な文体も多いし、体裁を気にしすぎて言いたいことが飛び飛び。
「精神科医が教える」と銘打っているからか、この時どんなホルモンが分泌されるかの説明がかなり入るのだけど、章が変わるたび既出のホルモンの説明が何度も入るので、同じ文章を読んでいる錯覚が起きる。
「楽しみ方=遊び方」を伝授したいが、自分の成功体験には反論がつく。
そこまで分かっているなら、
・日常生活に落とし込める遊び○選
・非日常での◯何選(旅行や観劇)
とかにした方が再読するにしても読みやすいしまとまってる。
脳科学的なアプローチがしたいなら、初めから「幸福の3要素を使いこなして遊びの達人になろう!」とか見出をつけてドーパミン、オキシトシン、セロトニンに分けて良し悪しを説明して、何をしたら出るのか具体例を出していった方がわかりやすいと思った。
(あとこの三角はマズローの欲求5段階説よろしく優先順位があるの?)
https://prtimes.jp/i/52297/52/resize/d52297-52-817379-1.jpg
あとネガティブ要素(日本のサラリーマン文化へのヘイトやダメな遊び方だの)が多く感じた。1章のアメリカ上げ日本下げとか読んでて楽しい人いないだろ。ストレス受けると脳縮みますよとかマイナス要素全部いらん。
ついでに一番の成功法則は継続です!とか言い始めてた時は何の本読んでたか表紙確認した。本のテーマとずれる気がするからいらないでしょこのくだり。
いらないところカットして体裁整えたら多分半分の厚さになると思った。
再読してわかったのは、初見は内容よりも読みづらさへのイライラが優ってしまって本質を掴めていなかった部分があったなということ。
もっと冷静に吸収できるとろ、自分にとって為になる良いところに目を向けないと無駄な時間を過ごしてしまうよな。
アウトプットのメリットはすごく為になった。
フィードバックできる、もやもやが解決できる。
「言語化し客観的に認識することで一気に対応、解決可能になる」は、それ自体言語化できていなかったことだから余計なるほどな、と思えた。
人に読まれるものだと思って文章を書くことも参考になった。
反省すると、
・肩書きで勝手に聖人君子を想像した
・多読したいなくらいの気持ちで手に取ったのに盛りだくさんすぎて勝手に疲れた
・飛ばし読みをしなかった
・ポジショントークにいちいち反応しすぎた
・カップラーメンの汁を冷蔵庫にとっておくエピソードにドン引きしすぎた
の5点。
今まで何となく消化していたホルモンの働きについてきちんと読み込んだので、教科書的な扱いになったかも。
読後メモ↓
・キリスト教徒にとって仕事は「罰」という認識。
・アイデアは既存の要素の組み合わせ。
・「自分に合わない」を見つけることは「自分に合う」の発見に近づいたということ
・緩めないと切れる。
・「元気になったらやりたいこと」こそ元気のないときにやれ!
・ケツカッチン仕事術
・60分間座り続けない
・「脳疲労」になると前頭前野、「我慢する」機能が弱まる
・疲れてる時こそゲームしない!(ダラダラと続けてしまう)
・疲れてるときこそ10分ストレッチ!
・徹夜の状態はドーパミンがジャンジャン出るから楽しい
・睡眠時間は6時間を切るな!
・遊んだあとはアウトプット!TO DO3つを書き出す!
・自分の感想を書く前に人の感想を見るな
・「言語化できる」=客観的に認識できて、一気に対応、対処、解決可能となる!
・「言語化」=「フィードバック」
・寝入る直前の記憶は残りやすい→嫌な記憶を覚えてしまう
・アウトプットの記憶増強効果は非常に絶大
・「何度も使われた記憶を脳は保存する法則」で、ポジティブをアウトプットすることによって強く記憶に定着→一日の終わりに楽しかったことを思い浮かべて眠りにつくことができる
・寝る前に心配事を考えると「危険」が迫っていると誤解して交感神経優位になる
・マイナスの感情は交感神経優位にしてしまう
・交感神経のまま眠ると、細胞や臓器の修復、免疫活動やがん細胞の破壊ができない
・眠る2時間前にリラックスすると効果的な睡眠が得られる
・自分の鉄板リラックス方を確立すること
・寝る前は今日楽しかった事(その日アウトプットしたこと)を思い出して眠ること
・その『遊び』は
1、「楽しいか」
2、「リラックスできるか?」
3、「リフレッシュできるか?」
4、「脳が活性するか?」
・コンフォートゾーンから出よう
・ラーニングゾーン→ドーパミン
・デンジャーゾーン→ノルアドレナリン、ストレスホルモン
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☆そもそもホルモンとは?
→体の機能を調整するために様々な命令を伝える物質です。
ホルモンによって命令が出される機能の1つに自律神経があります。
☆自律神経とは
→交感神経と副交感神経という2種類に分かれている。
☆交感神経・・・昼の神経と呼ばれる。興奮、緊張、活動的な状態に持っていく。
(ドーパミン、アドレナリン等)
☆副交感神経夜・・・夜の神経と呼ばれる。心拍数、呼吸数、体温を下げる。リラックスしている時に優位になる。
(オキシトシンが分泌されると交換神経が優位になる)
幸福の3要素
1、ドーパミン的幸福=お金・成功
2、オキシトシン的幸福=愛・つながり
3、セロトニン的幸福=心と身体の健康
●ドーパミン=報酬系「嬉しい!」「楽しい!」「もっと!」
・何かを達成した時に分泌される。
・記憶力などの脳機能が高まる。
・ドーパミンは「慣れ」てしまう
・ドーパミンの「もっと」の欲求は強烈で、抗うのは困難
・脳疲労になると我慢ができなくなるので、依存性娯楽はしないほうが良い
●オキシトシン=愛・つながり
・記銘力(新しいことを覚える力)アップ、記憶力増強効果がある
・人と直接触れ合うことで分泌される(アイコンタクト、ボディタッチ)
・ドーパミンの暴走を抑止する効果
・オキシトシン的幸福は劣化しづらい
・オキシトシンが分泌されると副交感神経が優位になり、心拍数が下がるなど、身体的なリラックス効果がある
・免疫力が高まる
・「危険の警報装置」である扁桃体の興奮を鎮めて不安を緩和する。
・コルチゾールを減少させる
●セロトニン=心と体の健康
・朝起きて1時間以内の朝散歩(5〜10分)
・30分以上の朝散歩はセロトニンの活性効果が失われ、疲労が強まる
・普通に散歩するだけでも分泌される
・セロトニンが活性化すると精神が安定する、思考を切り替えやすくなる
●アセチルコリン=ひらめき、創造性、発想力
・認知機能(思考、記憶、学習、注意力、集中力)
・アセチルコリンが分泌されてシータ波になり、シナプスが結合すると、新しいアイデアを思いつきやすくなる
・挑戦する、ぼーっとする、よく眠る、言語化する
●アドレナリン=やる気ホルモン
・ドーパミンがアドレナリンに変化する
・緊張、興奮、怒り、不安、恐怖などネガティブな感情
・痛みや疲れを感じにくくなったり、普段以上に力が出たりする
●エンドルフィン=脳内麻薬
・30分以上の有酸素運動で分泌
・モルヒネの20倍以上の鎮痛効果
・極めて幸せな感覚、多幸感
(多幸感:(麻薬などによる)過度の幸福感。陶酔感。)
●ノルアドレナリン=ストレスホルモン
・集中力が極限まで高まる、パフォーマンス力、判断力も上がる
・記憶増強作用→嫌な記憶は残りやすい
●コルチゾール=ストレスホルモン
・エナジードリンクのようなもの。日中は良いが夜間は×
・モチベーションを下げる
・記憶力を下げる。
・コルチゾールの分泌が長期にわたって続くとうつ病の原因になる。
・虐待時は海馬が萎縮する