1983年 夏の映画興行。

東宝系でスターウォーズ ジェダイの復讐と

南極物語がヒットした年。


で、松竹・東急系はどうだったのか?


東宝系ほどのヒット作はなかったが、

それ以上の波乱?が…


こちらのメイン館は、ヒットシリーズの続編。


ユナイトの配給がCICになって

今まで東宝系で公開してた

「007オクトパシー」が

ミラノ・バンテオン・セントラル系、

そこに丸の内松竹系を追加。


で、丸の内ピカデリー系と東劇系で

ワーナー配給の「スーパーマンⅢ 電子の要塞」 


そもそも、この夏はシリーズ物が競合するってことを

マスコミは煽ってて(しかも、ハリウッドメジャー、各社の作品だったし)、

特にスターウォーズと007は同じ公開日で

動員を揶揄されたが、どっちも固定ファンがいるし、ジャンルも違うし、  

逆に煽った効果もあってか、007は結果的には

そこそこの成績(配収、約20億)


逆にスーパーマンは、スターウォーズと同じ第3弾とはいえ、

完結編でもなく、パワーダウンしたのがわかっていたのか、

東劇系の公開は2週間で終了。

地方はスプラッシュ作品と2本立てだったし。

それでも配収9億円。


で、東急系の目玉は

丸の内東映パラス系の

「探偵物語」と「時をかける少女」

薬師丸ひろ子の大学入学後の復帰作として話題になっていたのはもちろんだが、

角川春樹のスペオキ、原田知世の主演作で、

ちょうど「転校生」で評価あげた大林宣彦の監督作の「時をかける少女」。

角川と大林がプライベートフィルムのつもりで作ったと言われたが、

映画の中でしかありえないビミョーに古風な作品で

角川も探偵物語、そっちのけで宣伝展開。

南極物語とは違い、薬師丸ひろ子は大瀧詠一作曲の、

原田知世は松任谷由実の作詞曲の主題歌も合わせて、

メディアミックスを展開し、大ヒット。

  

興行的な面からすると、

角川映画は「ねらわれた学園」の公開時の遺恨から

東映系よりになっていて

配給が東映洋画であっても東宝のロードショー館で

上映していたのだが、

この夏の大作ラッシュでブッキングできなかったのか、

東映洋画の定番の丸の内東映パラス系になったと思われるが

前売り券の売れ行きや、前評判(と、角川のプレッシャー?)で

まさかの松竹直系の銀座ロキシーはじめ、

東急系、東映パラス系列をフル稼動。

横浜の相鉄ムービルでは、フリーの相鉄国際を南極物語に取られてたから

寅さんがはじまるまでの3週間のみ。(相鉄中央)

あとは、ニューテアトル(キャバは約140席)で

8月からは横浜東映名画座や、白楽紅座、八景アポロ座でもロードショー公開に。

薬師丸+原田のタッグも残念ながらこれがピークであったものの、この後しばらく弊害が…。

あと、この薬師丸+原田の2本立てが、あるターニングポイントになったのは、

いままでアイドル映画の公開の場合、

男性アイドルと女性アイドルの主演作

またはアニメ映画の2本立てで相乗効果?を狙って

たのが、

同性俳優の2本立てで競合させるという手法を生み出したこと。

言われてみれば、近藤真彦の映画に半分でもお金払いたくないし、そんなファンの中で映画みるのもいやだし。

果たして、配収は28億と日本映画では南極物語に次ぐ成績となる。


が…

東急・松竹系でこれを上回る映画が公開となる。

スーパーマンⅢの渋谷東急箔付公開、2週間後

東劇系で7/30公開の「フラッシュダンス」。 

主題歌のファット・ア・フィーリングがヒットしていたとはいえ、

有名俳優も出てないダンス映画でCICも

まぁ、便乗効果でそれなりに、位な感じだったのに…

「愛と青春の旅立ち」の前例があったにもかかわらず、

ヒット作の中で抜けてた客層である女性客をとりこみ、

主題歌の効果でまさかの大ヒット。

東宝系と同様、且つこの当時のセオリーで

急遽、公開館をさしかえできず、

(それでも、007の拡大公開を終えて、力道山のドキュメンタリー映画を早々に引き上げて丸の内松竹系を追加したものの)

8月後半になって、スーパーマンや探偵物語の

客が落ち着いてきたところから、

池袋、上野、横浜、あと地方へ拡大公開となったが

東劇系では暮れまでのロングランを敢行し 

配収30億超えとなる。

まさに大穴、ダークホース。

 

フラッシュダンスもその後、しばらく(シネコンか、主流になるまでの間だが)

映画興行の変革をもたらすことになる。

この頃から家庭用ビデオの普及が始まり、

古い映画もレンタルやセルビデオで視聴可能となり、

映画がコケた際に穴埋めで旧作を公開してきたが、

その需要も減りつつあり、

(たいていはクーブリックの2001年と時計じかけのオレンジ、またはディアハンター)

また、いわゆる名画座では(特に都内は)

暇つぶし(失礼な表現ではあるが)のアクションもの3本立てか、

通好みの監督やテーマ縛りの特集の2極化となり、

ヒット作とはいえ、若い人、特に女性は

名画座に来なくなってて、ロードショーでしか

稼げない。

そこで…

ロードショーがコケたり、急遽空きがでたときに

名画座には下ろさずにヒット作を2本立てで公開する、という

ことが増えてきた。

特にその翌年はフラッシュダンスと愛と青春の旅立ちのセットが

ロードショー館で延々とかけられるという事態に。

たぶん、翌年の分も足すと、トータルで40億は超えてたんじゃないかと。


他にも、インディアナジョーンズの1作目、2作目

ゴースト、プリティウーマン、トップガン

刑事ジョン・ブックとか

(場合によっては、配給会社の垣根を超えて)

セット上映されてた時代があった。

昔もこういった上映はしていたが、マリオンにあった旗艦館でも頻繁にやるようになった。



話は逸れましたが、

東急・松竹系でも夏の公開作で配収90億位は

いっちゃってて、

映画館がどこもかしこも混んでるという記憶がある

すごい夏だった…


ついでに、各邦画系のことも書いておこうと思ったが、

こっちもいろいろあったので、また次回。