正月映画として、E.T.が空前のヒットとなった正月を終え、

1月~2月は(特に東宝系は)泣かず飛ばずの状態。

 

その中で、唯一?のヒットとなったのは・・・「食人族」

正月第2弾として、正月中にテレビで大量のスポット流して、

(そんなわきゃないのに)リアル?ドキュメンタリー?と物議を醸して

そこそこのヒットとなった。

 

あの頃は、誰でも見れるか、18歳以上しか見れないかの2択しかなく、

あんなえげつない映画を小学生でも見れたということもすごいけど、

「食人族」の公開はいろいろと謎が多かった。

 

まず、ハリウッドのメジャースタジオの20世紀FOXの配給。

某サイトによれば、基本、世界配給はユナイトだったようだけど、

なぜ、割とお堅いイメージの20世紀FOXが??

(こういう映画は、たいていインデペンデント系の

 ヘラルドか、松竹富士、ジョイパック、東映洋画がやるもんだけど)

で、20世紀FOXの映画は東宝洋画系がほとんどだったのに、

松竹・東急系の丸の内東映パラス系での公開?

(その後もFOXの作品、数本は松竹系でロードショーされたものがあったけど)

内容が内容だけに、東宝系に断られたのか?

 

でもって、本題の春興行。

 

今でも、春のドラえもん、GWのコナン(クレしんは夏になってしまったようだが)

などは、残ってはいるものの、

昔は学生の休みの時期にあわせてアニメ映画をかけていたものだった。

春休みの邦画系は、東宝でドラえもん、東映はまんがまつり。

だが、この年の春は東宝・東映・松竹が

新作のアニメを洋画系で公開するとなって、

結構な話題になっていた。


まずは、角川と東宝東和が組んだ

初の角川アニメ 幻魔大戦。

監督が999のりん・たろう、

キャラデザインがAKIRAの大友克洋、

音楽(数曲のみだが)はキース・エマーソン。

で、それまでは、アニメといえばSFや架空の世界の話が多かったのが、

新宿のリアルな街をアニメで描写した、とか。

「ハルマゲドン接近」という、訳のわからんコピー推し、とか。

東宝東和と角川という、アクの強めの宣伝で

なんだかわからんが、すごいアニメ、という

インパクトだけは強い、強かった。


が。

大友克洋のキャラが不評とかもあったが、

とにかく、脚本がめちゃめちゃ。

中盤、見てるこっちが恥ずかしくなるし、

都市壊滅してるわりには人がどうなってるか、

全くわからんし。

サイキッカーだけが、なぜか生きのびてる…

 

結果的に中盤(ニューヨークのくだり)と

ラストのキースエマーソンの曲にのせた、

アニメーター金田氏の作画を大画面で楽しむ

PVみたいな映画。


松竹はガンダム=サンライズ制作で、

高千穂遙の小説を安彦良和監督した

クラッシャージョウ


東映は、(当時)ホントに最後の最後という触れ込みで公開された

宇宙戦艦ヤマト・完結編


クラッシャージョウは未見だが、

ヤマトもヤマトで、見た当時ですら

あんなにヤマトが好きだったはずなのに、

一回見ただけで、ほぼ記憶から抹殺されるような内容…


ちなみに、興行成績は

幻魔→ヤマト→クラッシャージョウの順番。


幻魔大戦はもっとヒットしそうな感じだったけど、

(東宝東和+角川で主要都市も地方も最大クラスの劇場で公開)

逆に東宝東和のセオリーに則り、

地方はアクの強いテリーギリアムの

バンデットQが同時上映。

2本見ると、4時間半近く…

(そのために、バンデットQは時間短くするため、作品をカットして炎上)


その当時は、正直、アニメブームとか騒がれだしていても、

実際には、映画ファンや幅広い層に訴求していたわけではなく、

ジブリでさえ、今ほどの興行成績をあげるまでには数年かかることになるし。

(またいつか、書こうと思いますが、ナウシカも

トトロも初公開時は爆発的なヒットだったわけじゃないし)

アニメファンという、固定の層のパイを取り合うだけの結果だった印象。


幻魔大戦だって、あれだけ宣伝しても、

同じ東宝東和配給の「プロ野球を10倍楽しく見る方法」みたいな、今どきのテレビの特番みたいな映画のほうが成績よかったわけだし。


特に幻魔は、地方でバンデットQつけたことが

逆に足を引っ張ったような感じだし、

ヤマトは制作の遅れでドタバタがあったようだし、

クラッシャージョウもさすがに安彦良和の

ネームバリューだけでは(アニメファン以外には)

大ヒットにはつならがらず。

 

ただ、昔は、映画会社が真っ向勝負で

映画、ぶつけ合うって、よくあったことだけど、

いまはシネコンの事情もあって

(東宝主導になってるから…)

大作の公開は、各社ともビミョーに調整してそうな気が…