巻第四 飲酒
49 酒のすすめ方
酒をひとにすすめるのに、とくに多く飲むひとでもそのひとの程度をこすと苦しませる。
もしそのひとの酒量を知らなかったならば、少しすすめて飲ませてみるがよい。
そのひとが辞退して飲まなければ、そのひとに任せて無理じいしないがよい。
量が不足で機嫌がわるくなったとしても身体に害はない。飲みすぎてはかならず害になる
客に馳走をするときも、むやみに酒をすすめて苦しませるのは思いやりがない。深酔いさせるのは禁物である。
客は主人がすすめなくても、日頃よりは多く飲んで酔うものだ。
主人は酒をむやみにすすめず、また客はいたずらに遠慮しないで、ほどよく酔って喜びを合わせてともに楽しむことがもっともよいことである。