巻第三 飲食 上
7 飲食はひかえめに


飲食は飢渇にならないためにするのであるから、飢渇の感じがなくなれば、そのうえ欲ばってほしいままに飲食してはいけない。
飲食の欲を制することのできないひとは義理を忘れる。いわゆる口腹のひとといわれていやしまれる。

食べすぎたといって薬を用いて消化させると、胃の気は薬の力に強く作用されて、生来の気の働きをなくしてしまう。
注意しなければならない。
飲食をするときにはよく考えて節度を守ることだ。
好物で、おいしいものに出あったら、まず戒めて、度がすぎないように自制することが大切である。

精神力を用いないと欲には勝てないものである。
欲を克つには剛の一字を実行することだ。
病気を恐れるには「怯い」のがよい。怯いというのは臆病の意味である。