登録販売者試験─試験問題の作成に関する手引き(平成30年3月)

第3章 主な医薬品とその作用

作成日付:20/04/04
更新日付:21/11/03

 


Ⅳ心臓などの器官や血液に作用する薬

3貧血用薬(鉄製剤)
3)相互作用、受診勧奨等

 
Ⅳ心臓などの器官や血液に作用する薬
3貧血用薬(鉄製剤)
3)相互作用、受診勧奨等

 

【相互作用】
複数の貧血用薬と併用すると、鉄分の過剰摂取となり、胃腸障害や便秘等の副作用が起こりやすくなる。
服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなることがあるので、服用前後はそれらの摂取を控えることとされている。
医師の治療を受けている人では、鉄分の吸収に影響を及ぼす薬剤が処方されている場合があるので、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。

 

 

【受診勧奨】

貧血のうち鉄製剤で改善できるのは、鉄欠乏性貧血のみである。
特段の基礎疾患等がなく鉄分の欠乏を生じる主な要因としては、食事の偏り(鉄分の摂取不足)が考えられ、貧血用薬(鉄製剤)の使用による対処と併せて、食生活の改善が図られることが重要である。
なお、貧血の症状がみられる以前から予防的に貧血用薬(鉄製剤)を使用することは適当でない。食生活を改善し、かつ鉄製剤(貧血用薬)の使用を2週間程度続けても症状の改善がみられない場合には、

  • 月経過多
  • 消化管出血
  • 子宮筋腫

等、出血性の疾患による慢性的な血液の損失が原因で貧血症状が起きている可能性がある。これらの場合、基礎疾患の治療が優先されるべきであり、一般用医薬品による対処を漫然と継続することは適当でない。また、鉄欠乏性貧血以外の貧血cxxivにより症状が現れていることも疑われ、鉄製剤によって対処すること自体が適当でない可能性もある。いずれの場合も、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、貧血用薬(鉄製剤)の使用を漫然と継続せずに医療機関を受診するよう促すべきである。

cxxivビタミン欠乏性貧血等、赤血球が生成される上で必要な、鉄以外の要素が欠損している場合がある。また、造血器系には異常が認められなくても、腎不全等の腎障害により、赤血球が生成される上で必要なタンパク質の産生が低下する腎性貧血等の場合がある。

 

 

NEXT⇒第3章Ⅳ心臓などの器官や血液に作用する薬4その他の循環器用薬1)代表的な配合成分等、主な副作用

 

【第2類医薬品】ファイチ

商品紹介

1.吸収のよい溶性ピロリン酸第二鉄を主成分とし、効果的にヘモグロビンを造り、
貧血を改善
2.赤血球を造るのに必要な葉酸とビタミンB12をバランスよく配合
3.コーティング錠だから、鉄の味やニオイがしない
4.
腸で溶ける錠剤だから、効果的に成分を体内に吸収
5.1日1回の服用で効く

 

医薬品の販売について
●使用上の注意
■■してはいけないこと■■
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないこと
他の貧血用薬


■■相談すること■■
1.次の人は服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人
(2)妊婦または妊娠していると思われる人
(3)薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人

2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を
中止し、この文書をもって医師、薬剤師または登録販売者に相談すること

関係部位/症状
皮ふ /発疹・発赤、かゆみ
消化器/吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹痛

3.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続または増
強が見られた場合には、服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師または登
録販売者に相談すること:便秘、下痢

4.2週間くらい服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持
って医師、薬剤師または登録販売者に相談すること

●効能・効果

貧血

●用法・用量
次の量を食後に水またはお湯で服用してください
年 齢 /1回量/服用回数
大人(15才以上)/2 錠/1日1回
8才以上15才未満/1 錠/1日1回

8才未満 /× 服用しないこと

<用法・用量に関連する注意>
(1)定められた用法・用量を厳守すること
(2)吸湿しやすいため、服用のつどキャップをしっかりしめること
(60錠・90錠用)
(3)服用の
前後30分はお茶・コーヒーなどを飲まないこと
(4)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること
●本品は水またはお湯で、かまずに服用すること

●成分・分量
1日量(2錠)中

溶性ピロリン酸第二鉄・・・・・・・・・・79.5mg
シアノコバラミン(ビタミンB12)・・・・・50μg
葉酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2mg

添加物として、

乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ステアリン酸Mg、ヒプロメロースフタル酸エステル、クエン酸トリエチル、白糖、ゼラチン、アラビアゴム、酸化チタン、炭酸Ca、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、赤色102号、カルナウバロウを含有する

●保管及び取扱いの注意
(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しいところに密栓して保管すること
(2)小児の手の届かないところに保管すること
(3)他の容器に入れ替えないこと(誤用の原因になったり品質が変わる)


●アルミ袋を開封した後は、なるべく早く使用すること(30錠用)
(4)品質保持のため、錠剤を取り出す時はキャップに取り、手に触れた錠剤はビン
に戻さないこと(60錠・120錠用)
(5)ビンの中の詰め物は輸送時の破損防止用なので開封時に捨てること
(60錠・120錠用)
(6)乾燥剤は服用しないこと(60錠・120錠用)