登録販売者試験─試験問題の作成に関する手引き(平成30年3月)
第2章 人体の働きと医薬品
作成日付:19/12/25
更新日付:21/04/16
Ⅲ 症状からみた主な副作用
1 全身的に現れる副作用
医薬品は、十分注意して適正に使用された場合でも、副作用を生じることがある。
一般に、重篤な副作用は発生頻度が低く、多くの患者はもちろん、医薬品の販売等に従事する専門家にとっても遭遇する機会は極めてまれである。
しかし、副作用の早期発見・早期対応のためには、医薬品の販売等に従事する専門家が副作用の症状に関する十分な知識を身に付けることが重要である。
厚生労働省では「重篤副作用総合対策事業」の一環として、関係学会の専門家等の協力を得て、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」を作成し、公表している。
本マニュアルが対象とする重篤副作用疾患の中には、一般用医薬品によって発生する副作用も含まれており、医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者等への積極的な情報提供や相談対応に、本マニュアルを積極的に活用することが望ましい。
また、医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者等に対して、一般用医薬品による副作用と疑われる症状について医療機関の受診を勧奨する際に、当該一般用医薬品の添付文書等を見せて説明するなどの対応をすることが望ましい。
一般用医薬品による副作用は、長期連用のほか、不適切な医薬品の併用や医薬品服用時のアルコール飲用等が原因で起きる場合があり、医薬品を使用する時の状況に応じて適切な指導を行うことが重要である。
3)肝機能障害
医薬品により生じる肝機能障害xlviは、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。
軽度の肝障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査(肝機能検査値の悪化)で初めて判明することが多い。主な症状に、
- 全身の倦怠感
- 黄疸
- 発熱
- 発疹
- 皮膚の掻痒感
- 吐きけ
等がある。
黄疸とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態である。また、過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることにより、尿の色が濃くなることもある。
肝機能障害が疑われた時点で、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、医師の診療を受けることが重要である。漫然と原因と考えられる医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることもある。
過去問正解文
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肝機能障害の症状の一つである黄疸は、黄色色素であるビリルビンが胆汁中に排出されないために起こる症状である。
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黄疸とはビリルビンが胆汁中へ排出されずに血液中に滞留することが原因で皮膚や白目が黄色くなる現象である。
NEXT⇒第2章 人体の働きと医薬品Ⅲ症状からみた主な副作用4)偽アルドステロン症
- 間接ビリルビン+直接ビリルビン
<間接ビリルビン>
- 赤血球の寿命(約 120 日)を終えて分解された赤血球中のヘモグロビンが変化してできた物質
- 間接ビリルビンが肝臓へ入りアルブミン(血液中のタンパク質)と結合したもの
- 肝臓から分泌
- 胆汁の成分
- 胆嚢に貯蔵
- 排出:胆嚢 → 胆管 → 十二指腸 → 小腸を経由し大部分は腎臓から尿として排出され、便にも含まれて排出される。