衆院選は自公圧勝 是々非々改憲とともに対米自立の達成を!
第48回衆議院議員総選挙は10月22日に投開票が行なわれ、自民党・公明党があわせて313議席を獲得した。
希望の党は小池百合子代表の”排除失言”をメディアがこぞって報じたことで一気に人気急落。棚ボタ式に漁夫の利を得た立憲民主党が55議席を獲得し、野党第一党に躍り出た。
候補者の中には、日頃より弊会の活動にご理解をいただき、一水会フォーラム等でもご講演いただいた方々も多くおられたが、当落の結果はさまざまだった。また、亀井静香氏のような、国民からの信頼も厚かった政治家の方々が今回の選挙に立候補せず、政界引退を表明されたことは、非常に残念である。
衆議院は自民、公明の両党で、憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を確保した。メディアは一律に、「今後、憲法改正に向けた論議が本格化する」と報じているが、改憲の中身や必要性の論点が明確にまとまとまっていない中で、『憲法九条の二項を削除し「改正」するのか、あるいは三項を追加して「加憲」するのか』という一点だけでむやみに「改憲」を煽るのはいかがなものか。
朝鮮半島情勢の緊迫化や世界各国で相次ぐテロ事件の影響など、安全保障の観点からみると、憲法によって自衛隊を「国防軍」とし、その機能を明確化させることは確かに重要である。自衛隊が国民から尊敬される軍人として、責任を持って任務を遂行するための最高法規として、日本国憲法は存在しなければならないのだ。
しかしながら、現在の安倍政権がイメージしている改憲は、自衛隊の任務や行動範囲を拡大させ、世界各地における米軍の戦闘行為をより密接に支援するための”理由づけ”であり、本来の改憲派が目指すべきである日本の自主独立、対米自立の実現とはほど遠いものだ。
今回の選挙戦が始まる直前、希望の党が発表した政策では、対米関係については「日米同盟を深化させる一方、基地負担軽減など地位協定の見直しを求め日本の主体性を確立する」と記されていた。だが政策発表会見のなかで小池百合子氏は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への新基地建設を「着実に進める」と発言しており、言行不一致を露呈する形となった。
そもそも地位協定を見直したいのであれば、まずは小池氏自身が東京都知事として、「米軍横田基地・空域返還問題」の解決、米軍横田基地の管制下にある首都圏周辺空域「横田ラプコン」の返還交渉を行なうべきであったのだ。
今回の選挙で、我が国にとって最重要課題であるはずの在日米軍基地の撤廃問題、ならびに日米地位協定の見直し問題が争点とならなかったことは、非常に残念である。
選挙期間中であった10月11日には、沖縄・米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターが民間の土地に墜落・炎上した。地位協定の取り決めによって、墜落したヘリは米軍の「財産」であるとされ、日本の捜査当局は捜索、差し押さえ、検証を行う権利を持たない。事故の原因究明がなされないまま、その一週間後には、米軍は事故機と同型ヘリの飛行を再開したのである。
去る9月28日の衆議院解散を、安倍首相は「国難突破解散」と名付けたが、独立した国家としての権利を奪われ、未だ米国の占領下から脱することができない現在の状態こそ、まさに戦後70年以上にわたって続く国難である。
弊会では今後も引き続き、政府・与党の政策に対しては是々非々の立場で、憲法改正の議論をはじめあらゆる問題を注視し、提言を行なっていく所存である。