昔、漢意 今、米意 | 一水会活動最新情報!

昔、漢意 今、米意

8月3日に発足した「第3次安倍第3次改造内閣」を、安倍晋三首相は「仕事人内閣」と命名したそうである。

 


発表後の記者会見では「幅広い人材を糾合(きゅうごう)し、全ては国民のため、しっかりと仕事に専念できる、結果を出せる体制」と、安倍首相自身も納得している様子だ。しかし、内閣支持率の低下が加速したため、内閣改造を実行せざるを得なかったというのが実情で、この限りでは、寄せ集めの保身内閣でしかない。


メディアの話題は早くも、臨時国会の召集時期と、安倍首相が打ち出した「2020年・新憲法施行」を見据え、改憲発議に必要な3分の2勢力を確保するための解散時期の予測に移行している。だが、注視するべき点を誤ってはいないか。

 

今年に入り、森友・加計学園問題や国連PKO・自衛隊日報問題など相次ぐ不祥事で、閣僚や関係省庁の担当者が不誠実な答弁を繰り返したことが国民の不信感を招き、安倍内閣の支持率は30%以下にまで急落した。その反省を踏まえて行なったのが今回の内閣改造であるが、関係する閣僚が総じて離任・交代となり、問題の真相究明が行なわれないまま、政府が幕引きを図ろうとしているようにしか見受けられない。

 

「仕事人」として誠実に職務を全うすることは、閣僚のみならず人として当然のことである。今般の内閣改造で新設された「人づくり革命大臣」なるポストも、「子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会。幾つになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会。人生100年時代を見据えた経済社会の在り方の構想を行なう」というキャッチフレーズは聞こえは良いが、漠然とした理想ではなく、具体的に実現可能な施策を打ち出さなければ、国民からの信頼回復も果たせないだろう。

 

さらに、沖縄の米軍普天間基地移設の問題では、就任した小野寺五典防衛大臣は昨日の会見で「辺野古移転が唯一の解決策」と述べており、沖縄の人々の民意に逆行する姿勢を崩さない意向を示した形だ。基地問題と言えば、米軍横田基地の「横田空域返還問題」も、弊会のみならず良識ある東京都民がから再三申し入れをしているにもかかわらず、平成20年にその一部が返還されて以降、防衛省、国土交通省、外務省、東京都は米国側との交渉を続行する気配すらない。まさに、「昔、漢意・今、米意」にほかならない。


「仕事人内閣」と言うのであれば、米国によって国民の主権が奪われ、領土・領空が侵害されている現状を打開し、対米従属を打破する政治課題を前進させてこそ、その職務を果たす意味がある。広告的なキャッチフレーズでごまかさず、実直に国民の負託に応えるべく全力を尽くすことを、安倍内閣に強く求めたい。