共謀罪に断固反対する!
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策を名目に、これまで三度国会に提出され廃案となった「共謀罪」法案の国会提出議論がまたもや持ち上がった。菅義偉官房長官は8月26日の記者会見で、「国民の安全、安心を確保することは政府の重要な責務であり、条約締結に伴う法整備を進める必要がある」と述べた。
菅官房長官の言う“条約”とは、2000年に国連総会で採択された「犯罪防止条約」である。これまでに約180カ国・地域が締結しており、G7参加国で日本だけが締結していない。
政府は、条約締結のためには国内法整備が不可欠との方針とみられるが、同条約が本来、国際的な組織犯罪などの重大な犯罪の法整備を求めているのに対し、日本政府の提案では、万引き、無賃乗車などの微罪を含む約600以上の犯罪に共謀罪が適用されることになっている。これでは「条約締結の目的といっても範囲が広すぎる」と、日本弁護士連合会などが反対しており、必要性の根拠のレベルでも議論が深まっていないのだ。
共謀罪が成立すれば、「話し合って犯罪に合意すること」が犯罪の要件とされるため、現在は表向き”違法”とされながらも黙認している盗聴、盗撮を含んだ捜査が、合法的な捜査手法として導入されてくることになる。
さらに、捜査機関が「重大な犯罪に繋がる恐れがある」と判断しただけで逮捕、処罰することが可能となるため、政府の推し進める政策に反対するメディアや弊会のような愛国運動も、処罰の対象となる可能性が出てくる。米国従属戦争反対、対米自立、政府への反対といった主張や運動が委縮することに繋がるのだ。
政府は、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」に変更し、9月召集の臨時国会に提出する予定だというが、見かけだけ変えても中身は同じだ。国民の表現の自由や結社の自由を侵害して、政府に都合の悪い主張や運動を管理し壊滅させる目的の法案でしかない。
権力の恣意によって、政府の不正や腐敗追及を警察権で弾圧する共謀罪成立に、我々は断固反対する。