鳩山政権の普天間基地移設を潰した「六十五海里基準」は官僚の妨害工作か | 一水会活動最新情報!

 鳩山政権の普天間基地移設を潰した「六十五海里基準」は官僚の妨害工作か

 二月二十二日の衆院予算委員会で、民主党原口一博議員が、平成二十二年に鳩山由紀夫首相(当時)が米軍普天間飛行場の県外移設を断念する判断材料とした政府の内部文書について、岸田文雄外相らに質問した。

 この文書は外務省、防衛省が鳩山総理に対する説明に使用したもので、そのなかには「米軍の訓練場とヘリコプター部隊拠点の距離は六十五海里(約百二十キロ)以内」という米軍による「基準」とされるものが明示されていた。しかし本年二月、在日米軍司令部は朝日新聞の取材に対し、「六十五海里という公式の基準はない」と回答した。

 (文書「普天間移設問題に関する米側からの説明」平成二十二年四月十九日付)


 原口議員は「外務省、防衛省が総理に対して説明したというのは公文書。それを出してほしい。勝手な怪文書を出して総理を惑わせたのか」と追及、岸田外相は「政府内部のやりとりを公にするのはあまり適切ではない」と述べた。
 
 平成二十二年当時、米軍普天間飛行場の県外移設を検討した鳩山氏は、鹿児島県徳之島への移設を検討した。だが、沖縄海兵隊ヘリ部隊の訓練地である沖縄本島中北部と徳之島は約百四海里(約百九十二キロ)離れているため、「六十五海里基準」を満たさず、この計画は断念された。鳩山氏はこの距離の問題が「最も致命的だった」と述べている。しかし、県外移設の可能性を潰えさせた基準に根拠がなかったのだとしたら、これは重大な問題である。
 
 文書は米大使館で行われた会議をもとに「普天間移設問題に関する米側からの説明」として作成されている。出席者は、アメリカ側がウィルツ在日米軍J5部長、ヤング在京米大安保課長、日本側が須川内閣官房専門調査員、船越外務省日米安保条約課長、芹澤防衛省日米防衛協力課長と記録されている。どのような経緯であの「六十五海里基準」が出てきたのか。普天間県外移設を断念させるための官僚側の妨害工作なのか。政府は事実関係をきちんと検証し説明すべきであろう。