鎌倉市「ネーミングライツ」募集について考える
鎌倉市が今年4月、財政難解消の措置として、
同市内にある由比ヶ浜、材木座、腰越の3ヶ所の海水浴場のネーミングライツを募集したことを、
皆様はご存知でしょうか。
ネーミングライツ(命名権)とは、施設などに対して命名することができる権利のことで、
1990年代後半以降、スポーツ、文化施設等の名称に企業名を付けることが
ビジネスとして確立しました。
今回ネーミングライツの募集の対象となったのは、由比ヶ浜、材木座、腰越の3カ所の海水浴場です。
鎌倉市によれば、契約は原則3年以上で、年間100万円以上が条件。
各海水浴場にスポンサー企業やその商品などの名前を加えた愛称をつけ、
海水浴シーズンを中心に、市広報や案内板にてPRしていくとのことです。
また、スポンサーは海開き式などのイベントも主催できるとしています。
募集の受け付けは4月26日までで締め切られ、
現在、審査委員会にて、応募したスポンサーの選考がなされているということです。
「ネーミングライツ」という発想それ自体を批判するつもりはありません。
しかし、ネーミングライツの売買により契約先が変わるとそのつど施設等の名称も変更されるため、
地元住民に親しみを持たれにくい、という問題点が指摘されています。
加えて、今回ネーミングライツの募集の対象となったのは、古都・鎌倉の海水浴場です。
世界文化遺産への登録は残念ながら見送られたとはいえ、
鎌倉が800年以上もの歴史を誇る、伝統ある都市であることに変わりはありません。
「由比ヶ浜」、「材木座」、「腰越」といった地名にも、それぞれ数百年前まで遡る長い歴史があります。
ネーミングライツを募集してスポンサーの名称を冠することは、
それぞれの地名の持つかけがえのない歴史をないがしろにする行為、と言っては大袈裟でしょうか。
募集は既に締め切られ、現在スポンサーの選考が行われているとのことですが、
鎌倉市には今一度、ネーミングライツ募集の是非について再考してほしいと思います(F)。
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■第137回一水会フォーラム
日時・平成25年5月13日(月)/18時30分開場・19時00分開会
演題・「検証 官邸のイラク戦争――元防衛官僚による批判と自省」
講師・柳澤協二先生(元内閣官房副長官補)
場所・ホテルサンルート高田馬場 3階会議室
会場整理費・2,000円(機関紙「レコンキスタ」最新号込み)