TPP参加急ぐ安倍政権、反発する地方
環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加しようとする安倍政権の方針に対し、
東北や四国、九州を中心とした23道府県議会が、
国内農業への影響回避や、情報開示の徹底を求める意見書・決議を、
3月の定例議会で可決していたことが13日までに明らかになりました。
TPP交渉参加反対を明言したのは岩手や山形、沖縄など7道県で、
いずれも農業が基幹産業です。
山形県は「安価な農産物が大量に輸入され、農林水産業に壊滅的打撃を与える」、
沖縄県は「食品加工や観光産業など地域経済に深刻な影響を及ぼす」
などと懸念しているのに対し、震災三県の一つである岩手県は
「震災復興と原発事故終息の足かせにしかならず、断じて容認するわけにいかない」
と厳しく指摘しています。
このように、TPP交渉参加を急ぐ安倍政権に対し、
地方側が慎重な対応と説明責任を果たすよう牽制する形となっています。
そもそも安倍自民党は、昨年12月の衆院選での選挙公約において、
TPP交渉参加の判断基準として以下の6項目を掲げていました。
(1)聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加には反対
(2)自由貿易の理念に反する自動車などの工業製品の数値目標は受け入れない
(3)国民皆保険制度は守る
(4)食の安全安心の基準は守る
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない
(6)政府調達、金融サービスなどはわが国の特性を踏まえる
ところが2月28日の衆院予算委員会で、安倍首相は、関税に関する(1)の項目を除く5項目は
「正確には公約ではない。目指すべき政策」
などと答弁、条件を(1)のみに限定してしまったのです。
我々は、TPP交渉に向け前のめりになっている安倍政権に強い懸念を抱いています。
尤も、繰り返し述べているように、我々は安倍政権の政策を全否定するつもりは毛頭ありません。
安倍政権の憲法改正、教育基本法改正に向けた取り組みはむしろ支持しているほどです。
しかし、我々の対応はあくまで是々非々によるものです。
先日、本ブログで安倍政権の「主権回復の日」記念式典開催に向けた動きを 批判しました。
TPP参加についても、我々は交渉参加反対を明言した7道県同様、反対の立場をとります。
安倍政権にはTPP交渉参加への慎重な対応、
および選挙公約を勝手に一つにしぼってしまったことへの説明責任を果たすよう求めます(F)。