リビア情勢で米国が自国の都合を示し始めた
激しい内戦状態突入したリビア情勢です。カダフィ政権のイブラヒム報道官は1日、
反体制派組織「国民評議会」が停戦を呼びかけ条件を提示したことについて、
提示された停戦条件を拒否する考えを表明しました。
国民評議会側は、政府軍部隊が、リビア北西部ミスラタなどへの攻撃を停止し、
撤収することなどを停戦の条件として提示していましたが、同報道官はトリポリでの会見で、
「自分たちの都市から撤収することなどあり得ない」と強気です。
国民評議会側は政府軍の反攻を受け、
ベンガジの南約150キロの要衝アジュダービヤ付近まで後退している状況です。
多国籍軍の空爆開始から4月2日で2週間をむかえますが、この政府軍側の停戦拒否も、
米英仏などの思惑をよそに、政府軍が当初の予想を上回る頑強さをみせていることの証左であり、
国民評議会側が窮地にあるとみてよいかと思われます。
ゲーツ米国防長官などは3月31日、下院軍事委員会の公聴会で証言し、
リビアの反体制派への武器供与に慎重な姿勢を示した。ゲーツ長官は、
戦闘に従事している反体制派の構成員は「約1000人」との見方を示し、
「一握りの指導部を除き、どんな連中が一緒に戦っているのか不明だ」となどと述べ、
武器供与に難色を示しています。
国民評議会などの反体制派内部に、国際テロ組織アル・カイーダにつながる勢力がいる、
ちう可能性が指摘されていることもあるようです。
英仏の出方は様子を見なければなりませんが、米国はここにきて、自国の都合を示し始めてきました。
場合によっては、古くはキューバの「ピッグズ湾事件」などのように、
国民評議会など反体制グループを舞台に上げるだけ上げておいて、梯子を外す可能性もあり得ます。
我が国の東日本大震災に際して行われている「トモダチ作戦」は、
それによって救われた被災者もおられることですから結構なことではありますが、それはそれとして、
米国の遠い中東地域での行いに対しては懐疑の目が必要だ、と思います。