アジズ元副首相に死刑判決
10月26日、イラク高等法廷は、イスラム教シーア派組織への迫害に関与したとして、
タリク・アジズ元副首相に死刑判決を言い渡しました。
死刑を言い渡されたのは元副首相のほか旧政権幹部ら計3人で、判決によると、
3人は旧政権時代、シーア派反体制組織のメンバーらに対する迫害や処刑に関与した罪に問われています。
このシーア派反体制組織は現在のマリキ首相の出身母体であることから、
報復裁判である可能性が高く、そうならば極めて不当なものです。
アジズ元副首相は長くフセイン政権のスポークスマン的な役割を担い、
イラクの顔として表舞台で活躍していました。1979年に副首相就任。
83年からは外相を兼任しています。
流ちょうな英語を操り、90年のクウェート侵攻以降、
国際的に孤立したフセイン政権の立場を主張しました。
今回の死刑判決について、ローマ法王庁が27日までに、
イラクの高等法廷がアジズ元副首相に死刑判決を言い渡したことに対し、
刑の執行中止を求める声明を発表しています。このことからも分かる通り、
アジズ副首相はキリスト教徒であり、バース党政権下で信教の自由が保障されていたことが分かります。
いまや、マリキ政権下のイラクは混乱のるつぼです。治安回復のメドが立ちません。
アジズ副首相への強硬な判決も、不安定な政情が、旧バース党の復権をもたらすのではとの恐れが伺えます。
いずれにしても、アジズ元副首相への判決は不当であると考えます。