「日米戦争人種原因論」?
4月2日(金)、「産経新聞」朝刊掲載の、ワシントン駐在編集特別委員・古森義久氏のコラム、『あめりかノート』
で、面白い報告が載せられていました。
映画俳優のトム・ハンクスが「日米戦争の原因は人種偏見にある」との発言が、
波紋を呼んでいるというのです。トム・ハンクス氏といえば日本でも有名です。
その彼の発言が政治的波紋を呼んでいるのですから、興味深い話です。
話の要旨は、「日米両国の国民がお互いに人種偏見を持っており、それが戦争の原因となった。
米国側の人種偏見は続いていて、それがアフガンやイラクでの戦争に繋がっている」、というもの。
ハンクス氏は、そうした人種偏見には反対の立場をとっています。
『あめりかノート』では、ハンクス氏がハリウッドを代表する民主党リベラル派であり、
「リベラル派は自国の非をことさら拡大する特徴をもつ」と伝えます。
さらに、この発言に対して、保守派や中道派の人々はかなりの批判を加えているようで、
「日米開戦の原因は多様で、人種偏見のみで説明をつけるのは稚拙」、
「親は海軍の軍人だったが、特に日本人に対し偏見は持っていなかった」、
元・共和党政権の高官も、
「アフガンやイラクで続けられているテロ対策や民主化のための戦いを人種偏見に基づくとはとんでもない」、
等としており手厳しいものです。
そもそもハンクス氏の発言は、
同氏が製作した太平洋での日米の死闘を描いた映画、
「ザ・パシフィック」のホワイトハウスでの試写会でのこと。
民主党の支持者であるハンクス氏のために、
オバマ大統領がわざわざセッティングしたと『あめりかノート』で報告されています。
同作品には、共同制作者としてスティーブン・スピルバーグ氏も名を連ねており、
米国における、政治と映画界との繋がりも興味深いところです。
『あめりかノート』の締めくくりが、
「この論争や、ハンクス氏の映画が『日米同盟』に影響を及ぼさないことを願う」というのも産経らしいですが、
米国で改めて「人種偏見」に目を向けられ、論争まで巻き起こしている背景は何なのか、
それを分析することがアメリカと日本との関係を考える上でも重要ではないかと思います。