朝から、わたしは
いつものごとく、
コアラを叱っていた。
内心
『泣けっ』と思うほど怒っていたムキキノキーッ!
原因は、
成績不振で放り込んだ塾を
サボろうと企て
見え透いた嘘をついたからだ
コアラの悪巧みは、
必ずバレることになっている。
要するにツメが甘いのだ。
問い詰めれば、
目は泳ぐ
言葉はつまる
と、誠に嘘に向かない性分なのに
性懲りもなく常にバレる嘘をつき続けるのだ
この日の朝も
アッサリとバレて
こんこんと説教をされるコアラ…ボーッ
泣くまで許さんーっ
な、ワタシはコアラに日頃の不満を
ぶつけた。
『コアラがいつまでも幼いのはやるべきことを
やらないから、大人になれないんだよ』
『…………』
『いつもいつもやるべきことから逃げて
楽しよう、楽しようって思ってるから
いつまでも幼いし、成績も悪いんだよ』
『…………』
『人はやるべきことをやって、その時その時の
自分の義務を果たすことによって
大人になるんだよ』
『………』
『部活だって、上手い子程成績いいのは
やるべきことをやる努力をしてるから
全てにおいて成果が出てるって事なんだよ』
『…………』
『聞いてるのっ』
『…………』
『返事はっ何か言いたいことないの』
と、そこで、はじめて
コアラは顔をあげた。
そして、←こういう顔で
『お腹空いた~』
『朝御飯なぁに!?』
と、聞いたのだ。
…………
ショックと驚きで
言葉につまるワタシに
『韓国海苔がいいなっ』
とか言っている。
これには、そばで聞いていた姉も
『ママ、ドンマイ!』
と、思わずワタシを励ました。
そうだった…
コアラはシェルター並の鎧を
標準装備して生まれたんだったウゲッ
もー、脱力しているワタシの隣で
美味しそうに韓国海苔で、
ご飯をパクつくコアラオイシイ~
わたしの子育ての目標のひとつに
心身ともにタフ
というものが、ある。
そうだ、
叶っているのではないか
充分に、タフだ。
この厳しい時代を生き抜くのに
繊細すぎるよりいいではないか……
そう思うことにして、
自分で、自分をなぐさめた。
多少、
やりすぎた感はあるけれど