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アカポスとはアカデミック・ポストの略で、大学などのアカデミアに所属する職種、つまり大学なら教授、准教授、講師、助教など、研究所なら部長や常勤研究員などのことを指す。恥ずかしながら、最近この言葉を知った。7年ぐらいポスドクをやっていた知り合いが、最近、自分のラボの公募にアプライしてきたのでいろいろと情報提供などでお手伝いする機会があり、いろいろ考えさせられた事があった。一般的にポスドクという職種は待遇が悪いが、それだけではなく社会的に差別されているという事実はあまり知られていない。例えば、銀行にローンを組む時も、経済的に安定的な保証がないためにポスドクだと断れる事が多いらしい。多くの場合、保健も国民健康保険だ。彼の場合は、学歴もあり、研究者としてのスキルも能力もあり、人間的にも社交性もあるのに、東京ではポスドク以上の就職口はまず見つからないと言う。特にアカポスは厳しい。アカデミア以外の企業などなら、少しは就職のチャンスもあるが、自分の専門分野は捨てないといけない。仕方なく、ポスドクはどんどん増えていく。

アカデミアではなぜこんなにポストが少ないのか?表向きには終身雇用制は廃止されても、実質的にはそれを踏襲し続けているのが今のアカデミアの世界だ。特に教授になってしまえば、その後は実績を上げなくても定年まで辞めさせられることはない。また、教授などになると、大した発見がなくても人脈・地位などを通じて巧妙に実績があるように見せかける術を身につけることができる。今の時代は研究が細分化され、正確に研究内容を評価する人も方法も時間もないため、人事の新旧交代がなかなかできない。90年代までは留学して3大誌を書けば、それだけで教授になれた時代もあった。そういう人たちが今でも重要ポストを占拠し、新しい研究分野の萌芽を摘み取っている。今は研究レベルが高くなり3大誌に載るのも難しい時代だが、例え3大誌に載っても、職業としてはポストの空きがないのでポスドク止まりだ。ポスドクはどんなにやる気があっても、個人の自由な発想に基づいた研究をする事は許されず、いつも就職活動で頭がいっぱいである。

これでは研究者になりたいという人は日本からどんどん減るだろう。現に、海外留学を希望する人は毎年減っているが、一番の理由は留学から帰国してもポストの保証が全くないので、日本でいいポジションを探し続ける方が将来的には有利になると考えているからだろう。

何かアカデミアの中の新陳代謝を促進する方法はないか?業績を評価する方法として論文のインパクト・ファクター(IF)がある。これには賛否両論あるが、実際には公募で外部の研究員を雇う時には履歴書のIFが重視される。その人がどんな研究をやってきたかなどは、ほとんど無視される。研究者同士が研究者を正確に評価できないのだから、教授や部長を選任する場合でもいっそIFだけで教授を審査するというのは暴論だろうか?もしそうなったら、IFを無理に上げようとしてねつ造事件が増えるだろうか?とにかく教授や部長の交代を実質的に不可能にしているアカデミアは制度疲労を来している。トップの適度な交代がない限り、ポスドク問題の解決はありえない。