世の中には、不登校の子どもを持つ親に向けたメッセージが沢山溢れている。

 

 

"学校に行かなくても大丈夫"

 

 

"学校に行かないことはかわいそうなことじゃない"

 

 

私も以前はそう思っていた時期がありました。

 

学校とは別で、我が子の状況なりにそういう子育てをしなければという気持ちで必死にやってきました。

 

 

それでも子ども達が学校に行かない選択をした時、手に届く範囲に子どもの状態に見合った学校に代わる学びの場、社会に繋がることのできる環境を新たに見つけることが難しかった。

 

狭い家庭内のリビングのソファが我が子の主な生活空間で、そのリビングの窓からは行くことの叶わない学校が見える。

 

そうして今になってこの言葉を聞くと、なんだか違和感を感じるようになってしまった。

 

 

不登校、我が家ではまず子ども自身が、自分だけが学校に行かない状況を気にします。言葉には表さなくても気持ちの中に矛盾を抱え、傷つき悩み苦しむ子は多い。

 

そういう環境で、生活の中に本来子どもが持っているはずのはつらつとしたエネルギーを発散する場を持つことが難しく、自信も持ちにくい状況で自宅を中心に家族と過ごす日々が続きます。

 

 

平日の昼に外出すれば、通りすがりに良かれと思いかけていただくお声の返答に困ることも有ります。

 

"学校は今日はお休みなの?"

 

気にかけて下さる点はありがたいばかりなのですが、そこでちょっとドキドキしちゃうことも有るわけです。そうなるともう、貴重な外出も子ども自身が億劫になってきたりする。

(かと言って、私としては声を掛けていただきたくないわけでは無いです。)

 

 

不登校の子ども達の親として6年間、在籍する公立校とやれる限りの前向きなコミュニケーションを心がけてきたけど、結局娘は義務教育期間の半分以上を宙ぶらりんの状態で終えることになってしまった。

 

ですが幸いなことに今、我が家の2人は新たに見つけた恵まれた環境で、復学のスタートラインから歩き始めたところです。

今のところ、最大限がんばって順調にやれている。

 

 

この6年はなんだった…?

 

 

子ども達の不登校の状況が解消しつつある今、改めてこのことについて考え始めると、私はどんどん苦しくなってしまう。

 

結局は私の知る限り、まだまだ"学校に行かないことはかわいそうなこと"になってしまう世の中(自分を含む)なんだと、そういうことになってしまう。

 

失うものが大き過ぎる、という実感があります。学力はもちろん、体力、経験値、自己肯定感、体格、様々な事に影響します。

 

当たり前ですが、学校に代わるその子の状況に合った社会的な居場所やホームスクール等の環境がある場合を除いて、"学校行かなくても大丈夫!"だなんて、軽はずみには思えません。

その当たり前が当たり前ではない世の中なのだと、我が家の子ども達の体験からはそういうことになってしまう。

 

 

家庭だけで対処できることの限界も感じます。

 

大したことじゃないと歯を食いしばってそう言えたら良かったけど、現時点で私には言えそうにない。私としては、とんだ落とし穴にはまったものだと、こんなはずじゃなかったと今でも思っている。

 

 

不登校をかわいそうなことにしない為には、大人が責任を果たす必要があります。

 

私の知る限りの地域内の義務教育の環境やその周辺には、不登校の子が復学しようとした場合に安心してお任せできる仕組みというのは無かった。(できる限り連携して試した結果の感想です。個々の先生方には貴重な時間を割いていただき最大限配慮をいただいて効果を感じたこともありました。娘は復学後、再び不登校に戻る経験をしています。)

 

 

一度不登校になってしまった子は、なかなか学校に戻ることができていないという状況が数字にも現れています。東京都教育庁指導部の調査によると、令和4年度の学校復帰率は小学生29.5%、中学生21.7%、小中学生の7〜8割が復学できていないのだとか。その中でも再不登校の割合だとか、深読みしていくとといろいろ考えるところが有りそうです。

 

中学卒業後は、不登校の子を含めた大多数の子が一般的な全日制から定時制、通信制高校等の学校を選ぶことになり、選択肢の幅がグッと増えます。とはいえ不登校の状況下においては、内申点や学力によって選択の範囲が限られるのも事実。引き続き厳しい状況ではあるものの、このタイミングで復学というパターンは多いようです。(娘もいまその段階にいます。)

 

 

世の環境が、そんなに少なくないはずの不登校の子どもに対して、ちょっと厳し過ぎやしませんか???

 

 

納得がいかないのは、自分を含めた世の中が、義務教育の"義務"を果たせていないんじゃないかと思うから。同時に漠然とした何かに対して失望もしている。

 

 

"学校に行かなくても大丈夫"

 

 

大人同士でもそうだけど、大人から子どもへこう声を掛けたいと思うなら、もっと子どもを取り巻く環境や仕組みを変えていかないといけないし、そもそも根本である学校環境に変化を求めたい気持ちが私には強く有ります。

 

 

学校からはみ出す子どもが急増していることについて、その背景や親に向けたメッセージが世間で取り沙汰される度にモヤモヤが募って、ちょっと吐き出したくなりました…!

 

 

 

おまけ

 

子ども達が学校に行き出して、森に出掛ける回数がめっきり減りました。春を消化する間もなく、夏を迎えることになりそうです。と言いながら、先日の楽しかった散歩道のキタテハ。緑が濃い!