6月のある日の午前中。


台所に立つ私の背中の後ろで、やることが無く暇そうにしているタロウの様子を見かねて、こっちにおいでと声をかけてみた。
誘いに応じないことも多い中で、この日はうれしそうに台所にやってきて、一緒に野菜を切り始めた。

突然こんなことを言ってきた。


「前にぼくがお母さんと一緒に○○を作った時、お母さんが鍋に○○○をたくさん入れたことを怒ってごめんね。」

一年以上も前のことを言っているのだとすぐにわかったけど(私はよーくよーく覚えていたことだったけど)、確認したら本当にそうだったからびっくりした。



当時のタロウは学校に行かない生活が数か月続き、今よりメンタルが不安定で、だいぶ気難しかった。

一緒に台所に立ちながら、私はタロウがへそを曲げないように、気持ちよく楽しく調理できるようにと、かなり気を遣いながら最小限手を貸すつもりで作業をしていたはずだったのに、仕上げの場面でうっかりタロウの気に入らない事をしでかしてしまった。

おおらかな気分の時であれば、なんてことは無いようなささいなこと。

やった瞬間、「あーこれはしくじった…」と思い、案の定タロウはへそを曲げ、せっかくのたくさんのおいしそうな食事を並べた食卓で、悲し気な顔つきで座るタロウの姿は忘れられないものだった。

私はその様子をなじったことはないし、振り返って話題にしたことも一度も無い。

そんな一年以上も前の出来事について、タロウが唐突に思い出し、まるで昨日のことのように私に向かって「ごめんね」と謝ってきた。


改めて振り返って、当時のタロウの落ち込みようはひどかったと思うし、比べると今はだいぶましになっているなぁと思う。


 




最近読んだ不登校に関する記事で、不登校の子供の不安定な様子は、大人のうつ状態に近い、という文章を目にした。

実際に我が家でも、タロウからは死にたいという発言があったし(当時9才になったばかり)、とにかく外出を嫌がって、心配する家族の気晴らしの誘いを断り続け、家に居続けようとした。
頭のどこかに常に学校のことがチラついて、自分ではどうにもできない苛立ちがあったのかもしれない。

学校に行かなくなり2年が経つけど、タロウはまだまだ外に出るのを嫌がることが多いです。

つい先日も、タロウが興味を持って言い出したことについて、私と会話を重ね、実際に出かける段取りをしようと声を掛けると「やっぱりもういい」と拒否をする態度を見せたことがあった。

あんなに関心を寄せていたはずなのにと思うとどうにも腑に落ちなくて、タイミングを見計らって改めて理由を尋ねると…

「ぼく以上にこの件についてお母さんとお姉ちゃんが盛り上がっているのを見て、なんだか気持ちが冷めたからもういい。」

 

っていう、まさかの答え!



確かに盛り上がっていましたよ…苦笑

言い出しっぺはタロウでも、その後の私個人のごく自然な興味から湧いて出る感情で、楽しみだなーって…、私も(娘も)思ったっていいじゃないか!



そうして親子でその楽しみを共有できることをとってもうれしく思っていたのに、突如自分の殻にこもるような素振りを見せたから…
その姿が私にはあまりにも衝撃的で、「そういうの、損だよ。もったいないよ。」と、言葉を選んで伝えてみました。

その後もしばらくモゴモゴと何か言っていたタロウだったけど、私の伝えた言葉の効果なのかどうなのか、だんだんと前より誘いに応じて外出するようになってきています。



家庭内の狭い環境で、時々やりたいことがわからずに煮詰まったような顔をしているタロウとハナコ。
輝くような子どもの感性を、誰にも奪えないはずの時間を、そういうところで失っている…、などと考えはじめるととたまらない気持ちになる。


この経験が、いつか生きてくることも有るのかな。
できればさせたくなかった、と今は思うけど。
 

 


 


近所の大学の生涯学習センターの成人向け講座、ハナコと二人で全5回の前期の講座を申し込んで、今日まで3回受講することができました!
1回欠席したのは、別の予定と重なったため。残りあと1回です。


受講した内の1回は、タロウもスポット参加の枠で事前に申し込んで、3人で受講することができました。フィールドワークが中心の講座だったせいもあると思うけど、講師に許可もいただけて、ありがたい経験になった。

 

行き場を探している親子を受け入れてもらえる仕組みがあるとありがたいなぁと、思います。

表向き、大人も子供も事情関係なしに並列なのが、いい。プレッシャーの無い、前向きで若々しい大学の空気感、子ども達もとても気に入っているみたい。

 

 

他にも6月半ばにはホタルを探しに出かけ、初めて近所で見つけて楽しむことができました。

タロウの発言がきっかけでした。


その時、暗闇の浅瀬でタロウが網ですくって捕まえたザリガニを家に持ち帰ったところ、図らずもたくさんの子ザリガニが容器に一緒に入っていたのです。


これ、今話題のまさにタイムリーなやつ…、一旦捕まえたら逃がしちゃいけないのだとか…汗
侵略的外来種という事情で、確か今シーズンから。
ということで、汚れっぱなしで放置していた水槽を急いで掃除し、ザリガニ保育園を急遽開設(即日大盛況)。


いろいろ調べたけど、共食いは有る程度避けられないらしく、なんとも緊張感の漂う保育園になっています…汗汗汗

 

 

 

 

おまけ

 

これも6月。雨の景色がたまらなくよかった、とある神社の鎮守の森の池。