梅田アマント 20分劇場 犯罪篇-1 | イッセー尾形・らBlog 高齢者職域開拓モデル事業「せめてしゅういち」

梅田アマント 20分劇場 犯罪篇-1

4月12日梅田アマント 20分劇場 犯罪篇

 

梅田から東に向かった住宅と商店のある町。奇跡のように空襲で焼け残った仕舞屋が並ぶ不思議な通り。昔の佇まいを残したまま雑貨屋、古着屋、タイ料理、インド料理、アクセサリー、駄菓子屋などが並んでいる。通りは静かだけれど、町の時間を乱さぬように注意しながら、観光客がそぞろ歩く。

 

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通りから内側に一きわ暗く穴のように開いた一角には、黒い水漏れを防ぐ紙が内側から張り巡らされている。昔の映画上映するようなところ。ここはあとで本番までの稽古場となった。そのとなりは半間分だけガラス戸で、有機穀物グラノーラの店、そのとなりは通りに向かって開いていた居間を行き来できるようにした喫茶店、天人アマント、今日の舞台となる場所。カレーの匂いがする。

 

オープンキッチンは、水屋と呼んだ方が似合うような作りである。そこに、日本語の全く通じない肌の黒い人や、感じのよい笑顔の青年、少し年配の男性が仕込みをしている。誰に向かっても感じのよい笑顔でいる青年は、ムラタくん。このあと、公演の舞台でぶっつけ即興の芝居に出てくれる。前回1月30日の20分劇場。その芝居が成立するのを観客として見ていた彼は、天人アマントの店長、ジュンさんを介して、面白かったと感想をくれた。対して雄三さんが、見ていて面白いなら、次は出てみないかと誘ったところ、出ようと言ってくれたのだ。彼は聴覚しょうがい者。アマントでは、ジュンさんを初め、彼とコミュニケーションをとるために手話ができる人が何人かいる。英語しか話せない人に対して、英語でやりとりしようというのと変わらない。

 

雄三さんは、考えた。耳が聞こえず、口話できない彼とワークショッパーズがどんな即興の演劇を作ることができるか。打ち合わせをするとか、稽古を積むとかでなく。20分劇場として、その場で何を作ることができるか。

センセーズが学校でのありのままを舞台にあげるように、ナースナイトで、病院で働くナースが日々の行為を寸分違わず再生したように、聴覚しょうがいの彼は、耳が聞こえないいつもの日常のまま舞台に立てばいい。そして、その彼に向かって、彼が音を理解しないことを了解している人物が、どうしても自分の中におさめておけなかった出来事や過去を語りだす。そこまで、今日の参加者に提示された。稽古をしている間、ムラタくんはいつもの通り、厨房でいそがしくしていた。

 

 

参加者は、アバンギャルズが勢揃いし、センセーズや神戸での参加者。大体が今日初めてここを訪れ、その佇まいにまず驚き、町の探検に赴く。子どもたちは、古い家のならぶ町を珍しいと思うよりも、お互いが一緒にいれば、そこは遊び場。慣れた関係と状況。いつもどおりに、静かな興奮の中で楽しんでいる。興奮して声が大きくなることもなく、町の小路を出たり入ったりしている。奥まった稽古場からは、通りが明るく浮かぶ。覗きこむ人の顔がいくつもガラス戸に近づいては遠のく。

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誰が、客引きをするかという設定遊びに内輪で興じる。アバンギャルズのメンバーはだれが通りに出て行っても、客引きとしての物語が生まれそうなのだ。この街に馴染んでしまう。

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稽古は、雄三さんが、ムラタくんに対して、耳が聞こえない人と承知した上で、何を話しかけるかという課題から始まった。

C ガラスのハートて強くする必要ないやんな

雄 それは伝えるための言葉でないな

I 鳥になりたいなと思うときあって

 羽ばたきたいなあ

 外人と結婚したらどうかなと思うんよ。

 白人のイケメンのレディファーストの

 そういう人生もアリかな

でも言葉がしゃべられへん

 

K 夢見たんだって。山に行ったりして

  君、いきなりいなくなって、すごくないて

雄 展開が早すぎる

 

M あのー、なんやろね、ふふ、突然とかって。何やろね。

あのほら、ガチャンと嫁が戸を閉めるん。あれだけでなんやろね。

俺より下の子が驚いて。大体、ベランダでタバコを吸いに行くのよね。決まって下の子がこっちを見るのよね。

雄 これでいいわけね。初回のセンセーズで、白状しないと、やってないと言いはるわけ。そしたら急に生徒指導室でコハマ先生が、「カレー昨日作ったんだ、」って話しをした。意味がないじゃん。でも、こういうことね。

T タエちゃーん、タエちゃーん、騒がしい夢やなあ。叫んどるわと思って、ううーって首絞めてるみたいん。何してんねんって抱きついて、止めて。

雄 市橋って、外人の女性殺した犯人ね、彼はコンビニでも防犯カメラ避けて、無人駅とかで過ごして、最初、死のうとして北をめざす。北海道で死ねないってわかって。次、遍路しようとして四国で、人のいない山道を歩くんだよね。お墓の供え物くったり、柿の熟したのくったり。で、そのとき、うまいと思ったって書いてるの。で、そのとき、こんなことしたって、死んだ人が生き返らない。で、生きようとして南の島へいくんだ。

人殺して逃げる。で、聞こえない人に会う。話したい気持ちがいっぱいあって。という感じ。で、今の話しの、夢で追いかけられるとかにつながるかな。
続く