Mws#47-2 二子玉お芝居子どもも出たよ | イッセー尾形・らBlog 高齢者職域開拓モデル事業「せめてしゅういち」

Mws#47-2 二子玉お芝居子どもも出たよ

Mws#47-2 二子玉お芝居子どもも出たよ

 

 

3 叱責バージョン2

 

後ろに控えていた肩に筋肉がついた目力のある男性。なんか精力剤のCMに出てきそうな感じ。つまり、左の男性が薬を飲む前、右側は薬を飲んだ後。

 

上手側の男性は登場してすぐに、客席に向かって、

「うるさいよー、大事な話ししてんだ」と恫喝声です。これは前以って作っておいたせりふ。つまり、折々に、リラックスした子どもたちを牽制するための道具立て。でも、子どもたちの声は窓に面したスペースでのんきに響いているだけなので、てんで気にならないのです。

 

で、どうすんの、あなたが目標達成するために、僕にアドバイスくださいって来たよね。それやったの?

「やりました」

で、この結果。はー!

打ち合わせのとき手ぶらで来たよね。メモ取ったのか。

え、こっち見ろよ。下見るな。目見て話せ。真剣な話ししてるんだ、なー。

と、上手男性、いきなりお得意様に向かって

今日はお時間を作っていただき、ありがとうございます。と言いつつ腰をかがめて名刺交換。

即、下手男性もやってみますが、頑張っているのに、どこからか空気漏れを起こしています。

場面をかえて2人が相互に演じてみるのですが、どうやっても恵比寿様と貧乏神シリーズみたいな感じに見えてしまう。匙をなげかけたころ、後ろに背の高い男性が立っています。

 

叱られる叱るもありて聖夜かな

 

4 サラリーマンの歌バージョン1

 

アカペラでスーツ姿の男性が歌い出します。

かなり飲まれて来ましたね、っていつものマスターの、低い声が

神戸アバンギャルズのタエ嶋くん。昨夜仕事を終えて新幹線で東京入り。自作のリーマンソングを歌います。酒場で飲みつぶれる歌をキメたら、即、関西弁の女性言葉の語りに入ります。実はこれ、かなりフィクション。タエ嶋家のヨメのせりふです。

 

何考えてんのー。おかしいよね。なんか言ったらどう。今日で3日目。なんで3日も家に帰られへんの。なんで西明石に行ってしまうの(注、西明石はしばしば夜中の快速の終点)

あんたも親やでな。こうちゃんも学校で笑われてんのよ。お父さん、自動販売機のとこで寝てたって。近所でもうわさになってるのよ。

 

ヨメのせりふを引き取って、また、酒場の歌が続きます。

 

年忘れ飲んでも酔えない酒がある

 

5 奥さんと健忘の男性

 

同一人物かは定かではありませんが、叱責を受けていた男性が室内仕様で下手椅子。上手椅子には奥さんと思しき女性が。

いきなり。

 

なんか言うことあるでしょう。

「覚えてない」

えーーーー!

あんだけひどいことしといて、覚えてないって。どういうこと。

「昨日お酒飲んで帰って来て、それから何も覚えてない」

どういうこと、どういうこと。

近所の人みんな知ってるよ。私、叫んだからね。ぎゃあわーーって叫んだからね。

こっち見なさいよ。こんなに腫れてる。

私の髪ひきずってぶんなぐったんだからね。

「家に帰ってから、全く覚えてないんだ」

ちひろー(と、サンルームの方にいる本当の子どもに向けて呼びます)

いつまでご飯食べてるの。ちょっとこっち来なさい。と本当に舞台領域からサンルームへ行って連れてきます。融通無碍のお芝居。で、いきなり、子どもは舞台上の演技者になります。なにもしませんが。ところが、この子どもがすごい。お母さんは舞台上で、ごく通常のことを言います。

いつまでごはんたべてんの。ちっとも片付かないじゃないの。

で、あっち行ってなさい。

と言われて、サンルームの方に行きかけますが、どうも母のテンションが尋常ではない。少しだけ不安になります。そして、ふっと母に抱きつくのです。芝居だけど、本当の親子の関係性。泣き出したり、興奮しないところが、日常の安定した絆を示します。これは親子関係がもろかったら成立しないお芝居だということがわかります。これまで半年以上かけ、雄三さんと清子さんがらくちん堂において、子ども連れでのお母さんの稽古を、ときに乳児のなき騒ぐ声をよしとして、継続してきた結果なのです。トラウマになるでしょう、というお叱りも聞こえそう。でも、育児経験者が自分の子どもだけでなくそこにいる子をお互いにフォローする場を形成して作ってきた関係性。見ていて大丈夫だと思いました。

 

もしかしたら、うまくいかないテーマや設定もあるかもしれない。そのときには絶対に子ども優先は当然のことです。当然の了解事項です。

 

と、隣の部屋でご飯食べている設定のもう一人の子どもに向けて、お母さん唐突に叫びます。

芋踏んでるー、かわいたら、床ががびがびになるでしょう!

 

やがて、母はジャズを歌い出します。達者です。

私、歌手になりたかったの。

「ごめん」

 

波の花つぶてのごとく君の言