雄三です （聞き取り）スタジオ２００からジアンジアンへ

スタジオ２００からジアンジアンへ

自由劇場にいたころ、頼まれてタレント学校で演劇を教えてたことがあるんだ。結婚する前後くらいかな。どんな生徒が来るかっていうと、別に演劇勉強したいわけではない。ただなんとなく彼女できないかな、とか彼氏できたらいいなとか。地方から来た人が多かったな。ここで、今から思えば、ワークショップみたいなことをやっていたかな。彼らとやっているうちに劇団をつくろうってことになった。で、自由劇場で一緒だった高田純次とかも一緒に始めた。もちろん、イッセーもいた。でも、結局空中分解したな。この劇団が解散してしまってから、イッセーさんは子どももいたし建築業に専念するって言ったんじゃないかな。で、ぼくはサッシ屋ね。

俺はサッシやるから、尾形は外壁やれよとか言って分業してたんだけど。まだ芝居やってるときかな、大体外壁が終わったら、次の日とかにサッシの仕事に入るんだな。で、ある時現場で、メジャーが壊れて落ちてたんだ。叩き壊したみたいな。ああ、尾形がぶっつけたんだなって思った。本当に尾形だったかどうかはわからないよ。でも、その鬱屈みたいなのは俺もわかったから。

しばらく稽古しなくなってたころ。尾形も、俺は日本一の職人になってやる、みたいなこと言ったりしてた。僕も１年くらい演劇活動やめてた。そしたら、清子からあんたたちは、やっぱり稽古した方がいいよて言われて。まあ、そういうことでもしてないとロクでもないみたいな感じだったかな。で、銀座のいつも尾形と待ち合わせしたカーディナルって喫茶というかそういうところで待ってたんだ。そしたら現場終わって尾形が少し時間遅れてやってきて、現場服は脱いで着替えているけど、もう、ホームレスみたいな感じに見えたの。しかも現場服入れたかばんはぱんぱんで、ああ、俺達のいるところないなと思った。俺もそう見えるってことだよね。で、現場行き来する俺の車に２人で乗って、どっか店探すんだけど、入れそうなところないんだな。やっといつか現場近くで入ったことのある浅草の飯食わせるところにはいったんだ。

そんなところから現場のネタを作っていったかな。

お笑いスター誕生の勝ち抜き？落ちがないって言われたけど、こっちは別にテレビで受けたいとか勝ち抜きたいとか思ってないから。変えようとか全く思わなかった。尾形はまあ、もしかしたら違うことも思ったかもしれないな。でも、そのときは２人でそうだな、って言ってた。

落ちがないとか、面白くないとかって、公演みた人の感想にもあって、どうしてそういう演劇にしないのか、みたいなことを僕がA4に４，５枚書いて、で、折々に送るお便りみたいなのに折って入れて、何千って出すから積むと、こーんな高さになってさ。そういうこともしたな。

スター誕生では、今のネタを５分くらいにしたやつを演った。英語教師とかね、そうそう、バーテンもやったし、職業別。そのあとの一人芝居の原型みたいな。

スタ誕見た人で大阪の人が呼んでくれて、スタ誕をそのままやってくれと。通して見たいって言ったんだ。細かく切れてたから、寄席みたいに一回さがってまた出てくる。そのうち一回さがったら、あまりにも時間かかるから、舞台袖で着替えていいんじゃないの、て、その後の芝居の形式になってきたんだ。

池袋には美術館もあって、当時西武池袋っておしゃれでアートな感じだった。スタジオ２００、そこでかけたネタは結構意欲作が生まれたな。清子のインタビューにあったように、清子の同級生のTさんがつないで、チラシとかも作ってくれた。タクシーのネタや、出張するのとか。

だから池袋では大体衣装はスーツだったかな。もちろん、ネタは６，７本やるから、全部ってことはない。でも全部スーツでネクタイだけ変えるってのもやったことあったかな。

ジアンジアンは、最初のスタジオ２００のときに永六輔さんが来てくれて、１０時劇場って、その日の芝居が終わって、装置をそのままにしたようなところで、永さんが面白いとおもった人を紹介しながら、なんか演じるっていうの。それに出してもらって、それから単独でも出るようになっていった。こっちは、現場のネタをかけたな。

で、それから「いじわるばあさん」のレギュラーがきて、でも、まだ現場仕事してたんだ。イッセーさんは溶接できるから、「来てくれよ」って言うと来るんだけど、やけどすると困るから、顔ぐるぐる巻にしてさ。現場の服でファミレスとかで昼飯食ってると、おばあさんが来て、孫がおまわりさん（役がら）だっていうので、って握手しにきて、敬礼とかやってたな。